進化のときを迎えている ~「人類はなぜいるのか」に寄せて

2023/02/28 更新: 2023/02/28

法輪功の創始者、李洪志氏が2023年の新年に著したメッセージを読み、氏の強い信念と人類愛を感じました。いま、私たち人類が遭遇している多くの問題は、ひとえに人間が自ら起こしていると言えるでしょう。天然資源の浪費、環境破壊、病気、貧困、犯罪。世界のどこを見渡してもまるで”地獄絵図”のように私には見えます。

古くから私たちには道徳観が教えられてきましたが、実は道徳を実践することがいかに難しいかの裏返しであろうと思います。どうも人間には、「いまだけ、金だけ、自分だけ」と揶揄される弱さが誰にもあるのでしょう。私自身も、うっかりすると「我が身を守るスイッチ」が入ります。そこで氏はこう説きます。

「生きている間は、生活の貧富に関わらず、必ず良い行いを積み、悪事を働かないようにするとともに、善良さを保ち、天を敬い、神を敬い、人を助けることを自己の喜びとするのです。」

私は、このことに強く共感します。しかし、人間の価値観や考え方は、よほど大きな困難に直面しない限り、そう簡単に変わることはありません。となると、世界が破滅するそのときになって多くの人は気づき、反省するのかもしれませんが、それでは遅いのだと私も思います。

このことは、一見すると出口のないトンネルのように見えますが、いま私はひとつの明るい可能性を頭に描いています。それは、地球や大自然に対して感覚のチャンネルを開き、地球と一体感を得るための方法が見つかったかもしれないからです。地球や自然との一体感は言葉にできない不思議な力があります。いわゆる解脱の状態というか、昔なら厳しい修行の末に会得できた感覚と言えるのかもしれません。

写真提供(自然農法家、ジャーナリスト 横内 猛氏)

話は変わりますが、ここ数年、世界の農業は肥料不足、価格高騰という困難に見舞われています。それ以前に、異常気象によって世界の食料生産に大問題が起きていたわけですが、肥料問題はそれに追い打ちをかけています。すでに途上国では飢餓も広がっていると聞きます。かつて経済大国とまで言われた日本でも、深刻な食料危機が迫っていると見られます。

ところが、そんな危機的な情勢のなかで、私や仲間たちは意外に楽しく畑で農作物を育てています。栽培には肥料や農薬を一切使っていません。日本では100年ほど前から「自然農法」と呼ばれる技術が提唱されてきましたが、いまはさらに技術が進化しています。

農業や環境保護の分野では、「循環」という考え方を基本としています。いまある環境を破壊せず、いかに持続させていくのか。そのため、肥料として天然資源を消費し続ける現代農業は厳しい転換が迫られています。しかし一方で、地球の歴史をもっと遡ってみると、興味深いことがわかります。それは、38億年前の生命の誕生以来、地球の生き物は種類、数ともに常に増え続けてきたという事実です。

「循環」は増えもしないし、減りもしません。しかし、自然界の生命は増え続けてきたのです。そこで私たちは、従来のように環境の維持を目指す「循環」ではなく、環境を発展させる「生命が増える仕組み」をベースにした新しい技術を研究してきました。いま、これを「創命農法(そうめいのうほう)」と呼んで実践しています。種を播き、苗を植え、ただ一方的に収穫し続けます。収穫すればするほど、野菜は良くできるようになります。地球には、そのような仕組みがあったことを、いま実感しています。

地球や大自然は、私たち人間に一方的に恵みを与えてくれています。自らの手で種を播き、すくすく育つ作物を収穫して食べる。単純にそのことを経験するだけですが、実践者に変化が現れます。地球は私たち人間を祝福し、愛してくれていることを実感するようになるのです。人類は地球から拒絶されていないし、他の生き物からも敵対視されてはいなかった。人類は地球と一体なのです。その安心感と喜びがあれば、氏の目指す徳のある生活にごく自然に入ることができるのではないでしょうか。私たち人類は、いよいよ進化のときを迎えているのだと確信しています。
 

法輪功創始者発表「なぜ人類はいるのか」
自然農法家、ジャーナリスト。1986年慶応大学経済学部卒業。読売新聞記者を経て、1998年フリージャーナリストに。さまざまな社会問題の中心に食と農の歪みがあると考え、2007年農業技術研究所歩屋(あゆみや)を設立、2011年から千葉県にて本格的な自然農法の研究を始める。肥料、農薬をまったく使わない完全自然農法の技術を考案し、2015年日本で初めての農法特許を取得(特許第5770897号)。ハル農法と名付け、実用化と普及に取り組んでいる。 ※寄稿文は執筆者の見解を示すものです。