「闇バイト」に絡む強盗・特殊詐欺事件の増加を受けて、政府は17日、犯罪対策閣僚会議を開き、緊急対策プランを策定した。サイバー空間の違法な労働募集の排除や、個人情報保護法に基づく名簿流出防止、高齢者宅に犯罪集団から電話がかかることを阻止する方策などを盛り込んだ。
岸田文雄首相は「一歩踏み込んだ対策」として犯罪防止策を掲げた。首謀者を含む犯罪者グループの壊滅に向けた警察による強力な取り締まりのほか、「サイバーパトロール」と称して闇バイト情報の排除や名簿流出の防止対策、悪質な電話転送事業者への対策強化を行う。人工知能(AI)を活用した効率的な取り締まりを目指すという。
緊急対策プラン設定の背景には、各地で相次いだ強盗、特殊詐欺事件がある。フィリピンの入管施設に入所していた日本人容疑者ら4人はSNSを通じて「高額バイト」を広域で募集し、強盗を指示していた。4人は2月末に警視庁に逮捕された。19年までの2年間に約1700件、15億円以上の被害を及ぼしたとされる。
青少年がバイト感覚で犯罪行為に加担しないよう教育機関を通じて啓発活動も実施する。首相も17日、「闇バイトは重大犯罪。高額バイトといった文言につられて応募すれば、あなたや家族の人生を破壊する恐れがある」と注意を呼びかけた。
政府によれば特殊詐欺の被害者の大部分が高齢者。認知件数は21年以降増加しており、被害額も22年、8年ぶりに増加した。
同会議では学校の安全についても議題に上がった。1日、戸田市で発生した中学校侵入事件が取り上げられ、学校の危機管理マニュアルの点検や防犯カメラ、オートロックシステム、非常通報装置等の整備に向けて財政支援を行うとした。
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