日本では、およそ2年前から始まった新型コロナワクチン接種。しかしワクチン接種後、原因不明の体調不良や深刻な症状を覚える人も実際には少なくない。さらに、自身や家族に生じたワクチンの副反応とみられる症状を広くシェアするためSNSに情報を発信した人に対して、いわれのない批判や誹謗中傷のコメントが集中するなど、不当な方法で情報発信が阻害されている。
こうした現状を改善するため、学者や医師などの専門家が4日、東京高裁の司法記者クラブで共同声明を発表し、コロナワクチン接種に関連した情報発信の自由と公正さを求めた。
記者会見には青山雅幸弁護士、京都大学准教授・宮沢孝幸氏、NPO法人「駆け込み寺2020」代表の鵜川和久氏の3名が臨んだ。
2021年2月、国は新型コロナワクチンの接種を開始し、国民に対して努力義務を課した。結果、任意接種ながら日本の八割以上もの国民がワクチンを接種している。
その過程で、ワクチンの情報について、新型コロナ感染症に対する有効性などベネフィット(利益)のみが報じられ、ワクチンの副反応などリスク(危険性)についての情報発信がなされず、それどころか、リスク要因を発信するものを排除するような状況があらわれた。
ワクチンは通常、動物実験による非臨床研究に3年以上、人に対する臨床試験に6年以上、承認審査には一、二年の期間を必要とする。しかし今回の新型コロナワクチンに関しては、特例承認され、一年足らずで日本で実用化された。
青山弁護士の説明によると、先行して接種が開始されたイスラエルや英国でワクチン接種後に健康被害や死亡例が出たことなど公的情報として発表されていた。
ワクチンにネガティブな印象を与える事実については、日本ではほとんど報道されなかった一方で、一部の研究者や医師がSNSでこういった事実について発信すると、組織的とも思える程の、大量の誹謗中傷があり、発信が妨害されたという。
このような誹謗中傷は、ワクチン接種後死亡者の遺族や支援団体関係者のSNSの発信にも向けられている。
青山弁護士は「国民には利益面のみが強調される一方的な情報しか流通しなかったことにより、国民の多くは、真の自己決定権を行使するために必要な情報を得ることなく、ワクチン接種を選択し、その中で死亡を含めた接種後後遺症が頻発し、多くの被害者が生み出された」と訴えた。
共同声明には、記者会見に参加した3名の他、大阪市立大学・井上正康名誉教授、京都大学・福島雅典名誉教授や医師の森田洋之氏、臨床薬学博士・堀内有加里氏など15名が参加した。
声明文は以下の通り
(1) 国は、新型ワクチンに関する不利益情報についても、ワクチンを推奨したのと同じだけの分量と費用をもって、国民に伝える責任を果たすべきである。
(2) コンテンツ・プロバイダーは、新型コロナワクチンに関する情報のSNSにおける検閲を中止し、フェイクの検証は情報市場の自由な競争に任せるべきである
(3) SNSにおける一方的な誹謗中傷は、どのような立場に立つ者に対しても行われるべきではなく、このような行為は言論や科学を萎縮させるものであることを、コンテンツ・プロババイダーは強く認識し、SNSを自由で公正な言論及び表現の広場とするよう努力すべきである。
(4) コンテンツプロバイダーは、誹謗中傷により自由な発言を阻害し、他者の法益を侵害したものに対して、被害者の通報に迅速かつ誠実に対応すべきである。また、事後的な死亡審査などによる被害回復措置について、コンテンツ・プロバイダーは、誠実かつ迅速に対応すべきである。
(5) 新聞社、テレビ局などの既存メディアは、国民に新型コロナワクチン接種に関し、その有益性のみでなく、死亡を含む後遺症の実態及び過去のワクチンとのそれらの比較など不利益な情報も公平に報道し、国民が接種に際し、真の自己決定権行使が成し得るよう努めるべきである。
2023年4月4日
また記者会見では、会見に臨んだ青山弁護士ら3名を原告として、東京地方裁判所にSNS上などで名誉毀損を行った著名な医師、誹謗中傷者らに名誉毀損及び侮辱行為に対して、損害賠償請求を求める民事訴訟を3件提起したことが発表された。
青山弁護士は、ワクチンに対してのネガティブな情報発信に対し、誹謗中傷が数多く寄せられた事態に対して、「表現の自由に対する一般的な事前検閲などに法的規制を排除するためには、裁判手続きによる事後的審査が不可欠だ」との考えを示している。
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