米下院議員は26日、米国で社会問題化している医療用麻薬フェンタニルを密輸する麻薬カルテルを、中国共産党がマネーロンダリングを通じて「支援」していると述べた。
マクレーン氏は下院医療・金融サービス小委員会で「中国に拠点を置く犯罪組織は、麻薬カルテルのマネーロンダリング組織を取り込んでいる」と指摘。カルテルは中国共産党との「共犯関係」なしには存在し得ないと付け加えた。
カルテルに不可欠な中国組織
小委員会は、中国のマネーロンダリング組織が違法麻薬の生産・販売に由来する不正資金の洗浄において中心的な役割を担っていることを検証した。
「中国の組織犯罪が資金洗浄を行い、国境を越えて密輸される麻薬を生産するために必要な前駆体要素を提供している。カルテルが大金を稼ぐことを可能にしている」とマクレーン氏は述べた。以前はカルテルが同額の資金を洗浄するのに数週間から数カ月だったが、中国の組織の関与によって「たった数時間でそれを達成することが可能になった」とした。
麻薬取締局によると、オピオイド(鎮痛剤)の一種であるフェンタニルはヘロインの約50倍強力と言われており、米国でこれまでに最も多くの死者を出している違法薬物。2021年には、18歳から45歳までの米国人の死亡原因一位がフェンタニルとなるなど、大きな社会問題となっている。
中国のマネーロンダリング組織が大きな成功を収めているのは、中国特有の取引所や製造センターを悪用して利益を得ているからだと、米シンクタンク「グローバル・フィナンシャル・インテグリティ」の不正取引プログラム担当ディレクター、チャニング・マブレリス氏は言う。
同氏によれば、中国の組織は中国やラテンアメリカで何度か利益をドルや人民元、現地通貨の交換や商品化を通じて利益を合法的な資金へと変え、麻薬取引の痕跡を消す。組織的かつ迅速で、短時間で大量の資金を洗浄することができる。これが、中国のマネーロンダリング組織がカルテルにとって非常に重要な役割を果たしている理由だ。
マブレリス氏によれば、過去にはシカゴとニューヨークで活動する中国の組織が、メキシコのカルテルのために数千万ドルの麻薬収入を洗浄した。運び屋の一人で、米国永住権を持つ中国人は、平均50万ドルの現金を受け取っていたという。
また、米国籍を持つ中国人ビジネスマンが、グアテマラのカジノ、米国に拠点を置く水産物の輸出会社、米国と中国の銀行口座を経由して、メキシコ、コロンビア、グアテマラのカルテルのために約3000万ドルの麻薬資金を洗浄した例もあるという。
中国共産党は見て見ぬふり
国家安全保障会議の元増殖防止・生物防衛担当上級部長であるアンソニー・ルギエロ氏は中国の銀行がこのような行為を容認し続ける理由を徹底的に調査すべきだと訴える。
バイデン政権は、国際的な緊張を悪化させることを懸念して、手段を講じることを「恐れて」いるとも付け加えた。
中国の銀行は欧米市場へのアクセスを切望していることから、米国はそのアクセスを、中国のマネーロンダリング組織に対する措置を含む条件付きにするなどの対策を講じる必要があると述べた。
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