WHO、今年も台湾オブザーバー参加を拒絶…米議員ら失望表明

2023/05/23 更新: 2023/05/23

世界保健機関WHO)が台湾の年次総会へのオブザーバー参加を認めない決定を下したことをめぐり、多くの超米党派議員は中国共産党の圧力に屈服したWHOへの失望を表明している。

WHOは22日、台湾が求めていた年次総会へのオブザーバー参加を認めないことを決めた。21日からジュネーブで開かれているWHO総会では、12の友好国が「オブザーバー参加として台湾を招待する」議題を提案したが、中国とパキスタンによる反対を受け議題に盛り込まれることはなかった。

台湾は2009年から2016年までオブザーバーとしてWHO総会への参加が認めらてきたが、2017年以降は中国共産党の圧力により招待を受けられていない。

台湾の年次総会の台湾参加をめぐって、過去最大規模となる欧州議会を含む合計34カ国、1504人の国会議員が台湾参加を求める書簡をWHOのテドロス事務局長宛てに送ったほか、日米豪を含む8カ国の駐在台湾事務所も共同声明を発表し、台湾の参加が認められなければ「世界が求める包括的なグローバル公衆衛生協力と安全保障を損なう」と訴えていた。

「台湾排除は不当」…法整備で中国の圧力に対抗

WHOの決定を受け、米国議員からも厳しい批判の声が上がっている。

米上院の外交関係委員会の共和党ジム・リッシュ議員は23日、「WHOが中国の反対を理由に台湾を年次総会から除外したことは言語道断だ。台湾はグローバル公衆衛生を推進する重要なパートナーであり、議論に参加させるべきだ」とツイートした。

民主党のクリシ・フラハン議員も「台湾を世界保健総会(WHA)オブザーバーから排除することは、グローバル公衆衛生安全保障の損なうことを意味する。中国の反対によって、私たちのグローバル公衆衛生が損なわれることを容認してはならない」と述べた。

台湾のWHO参加は「1つの中国」原則に反すると主張する中国共産党に対し、法改正での対処を強調する議員もいる。

長年台湾を支持してきたジョン・カーティス下院議員は「議会は、国際組織における中国共産党の影響力に対処するために行動している」と述べた。

米下院外交委員会は15日、台湾の国際機関への参加を妨げる中国に対抗する「台湾国際連帯法案」を可決した。

同法案は2019年の台湾同盟国国際保護強化イニシアチブ(TAIPEI)法の改正案で、「中国共産党が組織の決定、言語、政策、手続きを歪曲することによって台湾の地位を決定しようとする試みに反対すること」を求める内容が盛り込まれている。

1971年に採択された国連第2758号決議は中国政府を唯一の合法的な中国代表と定めた。同決議を根拠に、台湾の参加は不可とされている。今回の法案は、同決議が中国と台湾の関係について明示しておらず、拒む理由もないとして、台湾の会議参加の意義を強調している。

台湾外交部「2300万人の国民を忘れるな」

蔡英文政権発足以来、オブザーバー参加を拒否されるのはこれで7回目となった。台湾外交部は22日、WHOの決定を受け「遺憾と不満」を表明する声明を発表した。中国とパキスタンは国連第2758号決議を歪曲して解釈し「これらの決議を中国のいわゆる『一つの中国原則』と不当に結びつけた」と批判した。

また、「台湾のWHA参加を認めないことは公衆衛生問題であり、政治が専門性に優先することは許されない。中国の政治的圧力によって台湾を排除することは、不当であるだけでなく、世界の公衆衛生にとって深刻な脅威となる」と付け加えた。

さらに外交部はツイッターで「#HealthForAll(すべての人に健康を)」と各国保健相との集合写真を添えて投稿したテドロス氏に対し「#HealthForAll。ええ、とても聞こえがいいですね、テドロス氏。しかし我が国の2300万人の人々のことを忘れています。台湾国民を代表できるのは、民主的に選ばれた台湾の政府だけであり、共産主義の中国ではありません」と述べた。

大紀元日本 STAFF
関連特集: アメリカ政治