食糧安全保障の観点から、中国資本による土地買収を阻止する動きが全米で広がっている。ベス・バン・デュイン議員をはじめとする下院議員団は9日、中国の個人・企業による農地購入を防ぐ法案を発表した。
米国農地保護法案は、米税法を修正し当該利権の対価として支払った金額の60%に相当する税金を買主に課す。対象国としては、中国のほかイラン、北朝鮮、キューバといった「外国の敵対的国家が所有・支配する」個人または団体を対象とする。
現在、米国では外国不動産投資税法(FIRPTA)に基づき外国資本は不動産を売却した際15%の所得税の支払いが義務づけられているが、この法案は外国資本による土地売買に対する課税を拡大し、適用税率を4倍に引き上げる。
デュイン氏は声明で「米国の農地や農家、サプライチェーン、そして安全を敵対的国家から守る」と強調した。
法案を共同提出したジェイソン・スミス議員も「米国の農業を外国の敵対勢力から保護する必要がある」と指摘。法案は「外国資本に対する税率を拡大することで食糧安全保障を強化する」と述べた。
米国農務省によると、中国人投資家による保有面積は2010年からの10年間で20倍以上に膨れ上がっている。
安全保障の強化や食料の安定供給を理由に米国の各州議会は法整備に動いている。3月には、ジョシュ・ホーリー上院議員が、所有する土地の売却義務や刑事罰などが盛り込まれた中国土地買収阻止法案を発表。フロリダ州では5月、中国企業による土地購入を阻止する法案が成立した。
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