米国のある採血事業者によると、今、ワクチン未接種者の血液に対する需要が高まっているという。
米国の血液センター「インパクトライフ(ImpactLife)」の広報担当マネージャーであるカービー・ウィン氏によると、病院側からワクチン未接種者の血液に対する関心は表明されていないものの、一般の人々から「不純物が入っていない血液」への需要が高まっているという。
インパクトライフのウェブサイトによると、同社はイリノイ州、アイオワ州、ミズーリ州、ウィスコンシン州の120以上の病院に血液製剤と関連サービスを提供している。
「私たちは、このことについて疑問や懸念を抱く人々との対話を重ねている」とウィン氏はエポックタイムズに語った。
一方で彼は、ワクチン接種者の血液を受け取ることに疑問を持つ人々が、回答に満足していない可能性があることを認めている。
1月26日、血液および生物療法の推進協会、米国血液センター、米国赤十字社が共同声明を発表した。声明は、米国の血液供給の安全性と、「ワクチンが輸血を受ける患者にリスクをもたらさないこと」を国民に保証した。
ウィン氏によると、全米の採血事業者はこれが正しい立場であると確信しているという。彼らは、ヘモビジランス(血液安全監視)と呼ばれるプロセスを通じて、輸血関連の事案を継続的に監視しているそうだ。
「医療処置において、献血者が新型コロナワクチンを接種しているかどうかは関係ないし、我々は追跡していない。人々が献血に来るとき、新型コロナワクチン接種の有無について質問していない」とウィン氏は述べた。
ワクチン接種済み献血者
1月26日の共同声明は、ワクチン接種者からの輸血による「有害な結果を示す科学的証拠はない」ため、「新型コロナワクチン接種を受けた個人からの献血を区別・分離する医学的理由はない」としている。
一方で、米国赤十字社はウェブサイトに、新型コロナワクチンを受けた献血者は、献血の際に「打ったワクチンの製造業者名を提供する必要がある」と記載している。
また、「新型コロナワクチン接種後に受け取るはずの接種状況を示すカードや印刷物を、次回の献血の際に持参することをお勧めする」。「ほとんどの場合、新型コロナワクチンを受けた個人は症状がなく、献血の際に体調が良好であれば待機期間はない」と勧告している。
FDAは昨年1月11日に情報を更新した。「新型コロナの検査を通常の献血者のスクリーニングに使用することは推奨しない」としているが、「事業者の責任医師は、献血希望者を評価し、適格性を判断する必要がある」とも述べている。
FDAはさらに、新型コロナと診断された、あるいは陽性反応が出た献血希望者は、「症状が完全に消えてから、少なくとも10日間は献血を控えるべきだ」と勧告している。ところが、「血液中にSARS-CoV-2の抗体が検出された個人は、待機期間なしで診断検査を行わずに献血することができる」という。
「SARS-CoV-2」とは、新型コロナウイルス感染症を引き起こすウイルスの名称だ。
新型コロナウイルスのパンデミックは、世界全体に壊滅的な影響を与えた。また、この感染症の致命的な影響を軽減するために導入されたプロトコルによって、さらなる被害がもたらされた。
マスク着用や社会的孤立が国民を二分した。規制を受け入れた人々は、それを拒否する人々に対する寛容さを失い、その逆もまた然りであった。
米政府の財政データを示すサイト「USA Facts」がまとめたデータによれば、昨年5月10日時点で、米国人の約81%が新型コロナワクチンを少なくとも1回は接種しており、約70%がワクチンの完全接種を済ませている。
この種のワクチンは、「接種者/非接種者」という新たな差別構造を生み出した。
血栓
新型コロナワクチンの導入後、その安全性が物議を醸す問題となった。
医師のジョセフ・マーコラ氏は、昨年12月に分析記事を発表し、ワクチン接種後の死者や、接種者から輸血を受けた人から異常な血栓が発見されたことについて指摘した。
ニューヨーク州立大学バッファロー校が主導し、昨年2月1日に「ジャーナル・オブ・クリニカル・アンド・トランスレーショナル・サイエンス」に掲載された研究では、新型コロナワクチンに静脈血栓塞栓症のリスクが若干あることが確認された。
論文の第一著者である、同校のピーター・L・エルキン教授は、そのリスクを「些細なもの」とし、影響を被ったのはワクチン接種を受けた患者のうち「約100万人あたり1.4件」だと指摘した。
また、機能性医学研究所の自然療法医であるマーク・シャーウッド氏は、他の要因も関与していることを示唆している。
同氏は、エポックタイムズに対し、「私は25年から30年来の経歴を持つ葬儀屋と話したが、彼らはワクチン接種者と未接種者の双方の体内で血栓が増加しているのを見ている」と述べた。
シャーウッド氏は、米国人の食生活が内皮という器官系に大規模な炎症を起こし、より大きな損傷と血栓リスクをもたらしているとし、このことに触れないのは「怠慢にあたる」と指摘した。また、心臓病や血管病の症例が増加していることにも言及した。
「これは非常に重要なポイントだ」とシャーウッド氏は断言した。「医学的な観点とジャーナリズムの観点から、そしてあらゆる角度から見ていく必要がある」。
FDA、献血者の適格性に関する主要規則を改訂
5月11日、FDAは、「輸血によるHIV感染のリスクを低減するために、リスクに基づく一連の質問を個別に用いて献血者の適格性を評価する」という勧告を最終決定した。
FDAは、「このポリシーは、男性と性的に接触する男性(MSM)、およびMSMと性的に接触する女性に特有の待機期間とスクリーニングにおける質問を廃止する 」と助言した。
この最終勧告によって、すべての質問は「性的指向、性別、またはジェンダーに関係なく、献血者に対してすべて同じになる」という。また、事業者らは「献血者の病歴に関するアンケートや手続きを修正することで、今からこれらの勧告を実施できる」との助言を受けた。
「過去3ヶ月間に新たな性的パートナー、または2人以上の性的パートナー、および過去3ヶ月間に肛門性交を行ったと報告したすべての献血希望者は、新規または最近のHIV感染者による献血となる可能性を減らすために待機措置が取られるべきだ。彼らは核酸検査によってHIVが検出されるまでの潜伏期間にあるかもしれない」とFDAは勧告している。
HIVの治療や予防のために薬を服用している人も待機措置が取られることになる。
FDAの最終勧告に対し、ウィン氏は、この変更はまだ実施されていないと述べている。
「献血者のスクリーニングシステム、献血者の記録、スタッフのトレーニングに多くの変更が必要だ。新しいガイダンスが数週間前に公表されたからといって、採血事業者らが一夜にしてこれらの変更を行うことはできない。私たちはプロセスを開始し、変化を受け入れているが、まだ細部の多くを整える必要がある」。
新たな適格基準は年末までに導入されると、ウィン氏は予想している。
高い感染リスク
FDAはリスクに基づく質問を個別に使用することで、「輸血によるHIV感染のリスクを減らす」ことを期待している。
しかし、米疾病管理予防センター(CDC)は、輸血は曝露毎のHIVの感染確率が最も高いとしている。輸血による10,000回の曝露ごとに、その血液を受けた9,250人が感染するとされている。
血液および生物療法の推進協会、米国血液センター、米国赤十字社が5月17日に発表した共同声明は、「性的指向に関係なく、すべての献血者に同じ一式の質問を用いて、個々の献血者の評価に基づき適格性を判断する献血基準における重要な科学的進歩に賛同する」と述べている。
シャーウッド氏は、FDAが献血者の適格性を評価するためのスクリーニング要件を見直す決定を下したことに関して、「非常に懸念している」と述べた。
彼は、FDAの新たなガイダンスは、国民を保護するための取り組みというより、むしろ「政治的な離れ技」だと考えている。
「ポリティカル・コレクトネスのために原則を譲歩し始めれば、方向性を見失うことになる。これは後退する際に当然踏まれるステップだ」とシャーウッド氏は示唆した。
さらに同氏は、新たなガイダンスが壊滅的な結果をもたらす可能性があると警告した。
「もし、HIVに感染した献血者が1人でも紛れ込んだらどうなるだろうか。HIVは治療できるようになったと主張する人もいるが、治療が簡単だからという理由で、それを人にうつすことを厭わないのはなぜだろうか」。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。