どうして製薬会社を訴えられないのか、「ワクチン・ビジネス」の仕組みに迫る(下)

2023/07/06 更新: 2023/07/05

今年2月、EPOCH TVのインタビュー番組「米国思想リーダー」に、弁護士のアーロン・シリ氏が出演した。(日本語版の公開は3/24)

同氏は、ワクチン接種で傷害を負った人々や、ワクチンの情報公開を求める団体の代理人として、衛生当局を相手に訴訟を起こしている。

シリ氏によると、ワクチンには前例のない免責が与えられており、「これほどの法的保護を受けている製品は他にはない」という。

メーカーに責任問題が問われるからこそ、製品の安全性は保証される。はたして、損害賠償責任を負わないワクチンメーカーの製品は本当に安全なのか。

(上)に引き続き、以下に番組内のインタビュー全文を掲載する。

ワクチン有害事象報告システム(VAERS)の問題について

ヤン・エキレック:
驚くばかりです。私にもアンケートや試験を設計した経験があります。1000万人というのは、かなり良いサンプルサイズだと思います。おっしゃるように、一般的な数字を代表できると思います。

アーロン・シリ:
いろいろな意味で、V-safeのデータはファイザーのデータより優れています。ファイザーの臨床試験の参加者は約3万人です。そのデータは、FDAに提出される前にファイザーのフィルターにかけられ、その後に公開されたものです。臨床試験では何をすると思いますか?参加者に問題があったら報告してもらうのです。V-safeの場合も同様に、参加者に問題点を報告するよう依頼しています。

ファイザーのデータは3万人で、V-safeは1000万人です。また、ファイザーはフィルターをかけますが、V-safeはフィルターをかけずに、そのまま一般公開されます。ですから、V-safeデータの7.7%という数字は、保健当局が発表する大規模なデータの中で、恐らくコロナワクチンの安全性を最もよく反映したものだと思っています。

ヤン・エキレック:
確かに、VAERS(ワクチン有害事象報告システム)と違って、V-Safeには割合を出す上で重要な分母がありますね。単なるシグナルではなく、実際の割合が分かります。

アーロン・シリ:
その通りです。VAERSは分母が分かりません。例えば、ある問題について、10万件の報告があっても、それを何で割ればいいのか分かりません。その問題を経験した人のうち、何人が実際にVAERSに報告したのでしょうか?母集団が不明なので、割合を計算するのは難しいのです。

一方、ここで強調しておきますが、コロナ以前には、米国の保健福祉省が医療研究・品質調査機構の資金提供を受けて、ハーバード大学の科学者にVAERSの研究を依頼したことがありました。

その研究によると、VAERSに有害事象が報告される割合は1%以下です。新型コロナの時期になって、その割合は増えたかもしれませんが、恐らく1%未満という数字は正しいでしょう。ポストコロナになっても、恐らくそれ以上は増えないでしょう。

ヤン・エキレック:
2021年以前、VAERSは安全性を測る最高のシステムと言われていたそうですが、実際、私がVAERSの存在を知ったのはここ数年です。一方、これは誰もが報告できるシステムなので、信用に欠けるという声もあります。あなたはワクチンの歴史をご存じですが、その意見に反論されていますね。

アーロン・シリ:
ええ。あなたがVAERSをご存じなかったのは当然です。ほとんどの人は知らないし、医者でさえ知らない人が多いのです。ですから、実際にワクチン傷害を負った人たちからの報告が、1%以下なのも頷けるでしょう。

とにかく、新型コロナ以前、ワクチンの研究論文は少数でした。あるワクチンに関する情報を『PubMed』で検索してみて下さい。どれだけ安全性の研究がなされているかを見てみるといいでしょう。非常に少ない事に驚くはずです。

私の事務所には、ワクチン傷害に関する問い合わせがあります。例えば、「全く健康だった子供が予防接種を受けたら、Xの問題が発生した」といった相談を受けると、まず我々は臨床試験データを調べます。

ただ、小児用ワクチンの臨床試験データは通常、役に立ちません。安全性審査期間が極端に短く、被験者の数も十分ではないからです。また、通常プラセボ対照群もいないため、それらのデータは全く役に立たないのです。

次に、認可後の研究を探しますが、数は多くありません。幾つか存在しますが、そのうちの多くは保健当局による研究で、VAERSのデータを利用しています。特にコロナ以前、ワクチンが「安全だ」と言われていたのは、VAERSに安全性のシグナルがなかったからです。つまり、もし安全性を疑うようなシグナルがあったとしても、「ワクチンが原因だ」とはされず、「さらなる研究が必要だ」とされたのです。

そして、その「さらなる研究」は、彼らが「ワクチン安全性データリンク」と呼ぶものを根拠としますが、我々はこれにアクセスできません。科学にあるまじき事ですが、彼らは基礎となるデータを提供してくれないのです。

コロナワクチン以前、彼らは常に「VAERSはワクチン傷害の因果関係を示すものではない」と主張していました。一方、彼らはワクチンが安全だと言う時、VAERSのデータを引き合いに出して、「シグナルが見つからない」と言うのです。今でも、それが続いています。VAERSはワクチンが安全であることを示す為だけに使用され、ワクチンに問題があることを示すためには使用されないのです。

ヤン・エキレック:
興味深いですね。ところで、今のお話の中で非常に気がかりに思ったのは、小児用ワクチンの安全性審査期間が非常に短いという事です。この問題については、今度しっかりと伺いたいと思います。

過去のワクチン被害との比較は可能か?

ヤン・エキレック:
さて、ワクチン被害については、多くの議論を呼んでいます。最近、私の番組は、アストラゼネカで傷害を負った女性をインタビューしました。彼女は「React19」というプロジェクトを運営し、ワクチン被害者およそ21,000人と共に活動しています。新型コロナの遺伝子ワクチンと、それ以前のワクチン被害を評価する方法はあるのでしょうか。

アーロン・シリ:
明確には答えられません。なぜならば、貴方の質問に答えるための研究は、まだ行われていないからです。あるいは、私が望むような、しっかりとした大規模な研究が行われていないからです。

研究は簡単にできますよ。既存のデータベースを使って、後ろ向き研究、つまりレトロスぺクティブスタディを行えばいいのです。これは、保険のデータベースでもいいし、何千万人もが登録している「ワクチン安全性データリンク」でもいいのです。これらのデータベースには、ワクチンを全く受けたことのない、何万人もの子どもたちが含まれています。

既存のデータを使えばいいだけの話です。ワクチン未接種の子供を分ける必要はありません。それらのデータには、すでに未接種の子供が含まれているのですから。我々がやるべき事は、彼らの健康状態を調べればよいのです。

米国の保険維持機構の仕組みの中で、カイザー・パーマネンテのような大手保険会社は、子供たちの全ての健康記録を持っています。保険会社が保険と医療を提供する仕組みです。ワクチン未接種の子供たちには、ICD-9、ICD-10と呼ばれる請求コードが振られています。これらの請求コードと、1種類以上のワクチンを受けている子どもたちの請求コードを比較すればいいのです。この2つのグループを比較した結果はどうだったと思いますか。

1986年から現在までの間に、子供たちの間で爆発的に増えている免疫関連あるいは免疫介在性神経障害の割合はどうなっているでしょうか。ワクチンを全く接種していない子供たちと、1種類以上のワクチンを接種した子供たちとの割合を比べたらどうなるでしょうか。

1986年の公衆衛生データによると、米国で慢性的な健康問題を抱えている子供はわずか11%でした。2011年の時点ではどうでしょうか。CDCのデータによると、米国では約半数の子どもたちが慢性的な健康問題を抱えています。言葉の定義が変わったとは思えません。

もし、現在の子供たちの定期予防接種の安全性を知りたいのなら、これらのデータを調査すればいいのです。今ご説明した研究は難しくありません。この研究を希望しているのは、私が初めてではありません。この研究を求める大勢の人がいて、彼らは何十年もそれを待っているのです。

連邦政府の保健当局でさえ、100万ドルを費やして、その研究を行う方法について発表しました。つまり、私が先ほど言った「ワクチン安全性データリンク」を使った研究です。

2000年に、科学者がそれにアクセスできるようになると、CDCはその報告書を、健康維持機構を代表する業界団体に移しました。つまりCDCは、一般人が情報公開法を使ってその報告書にアクセスしたりしないように、予防線を張ったのです。

彼らは白書の中で、「ワクチン安全性データリンク」には、何万人もの子どもたちのうち、ワクチンを全く接種していない子どもたちがいると言っています。彼らは子供たちの医療記録まで調べました。 実際にデータリンクが現実を反映しているのかどうかも調べたのです。それは、統計的に十分な信頼を得られる数字です。これらの子供たちは、一度も予防接種を受けていません。

衛生当局は、未だにその研究をしていません。正確に言うと、彼らは未だに結果を発表していません。やったかどうかは知りませんが、公表はしていません。

ヤン・エキレック:
それを提供してくれないのですね。

アーロン・シリ:
「ワクチン安全性データリンク」にアクセスできません。彼らがやるべき事は、各地のカイザー・パーマネンテにある請求コードを抽出し、これらに紐づけされている個人情報をすべて削除することです。こうすれば、個人を特定することはできませんから。

そしてワクチン接種の情報と非識別化されたデータをデータベース化し、どのワクチンを受けた人がどのような病気と診断されたのかを検索できます。このようにすれば、新型コロナワクチンによる傷害と、他の小児用ワクチンの傷害を比較できるし、それがどのくらいの頻度なのかについても必要なデータが得られます。

小児用ワクチンによる慢性的な健康問題

アーロン・シリ:
小児用ワクチンは、小児期の慢性的な健康問題にある程度、あるいは何らか形で影響しているのか、またその結果、成人期における健康問題を引き起こしているのか。保健当局によるものではありませんが、小規模な研究が行われています。

ジャクソン大学疫学科の研究ですが、これはホームスクールの子供たち数百人を対象にしたもので、保護者のアンケート調査に基づいています。私は、これに携わった科学者を高く評価しています。このような研究結果を発表するのは、非常に勇気のいることだからです。その結果、ワクチンを接種した子どもたちは、全く接種していない子どもたちに比べて、鼻炎になる割合が30倍も高いことがわかりました。

ヤン・エキレック:
もう一度お願いします。

アーロン・シリ:
鼻炎です。いろいろな種類がありますが、重要なのは、免疫系の問題であるという事です。

実際、それが彼らが調べた結果でした。ワクチン接種を受けた子供たちは、受けていない子供たちよりも何倍も多くの健康問題を抱えていました。その中には、ADHDも含まれています。一方、ワクチン接種を受けていない子供たちは水疱瘡が2倍高く、百日咳も接種群より割合が高いという結果でした。しかし、これらは一過性のものです。ワクチン接種を受けた子供たちは、一生に渡る慢性的な健康問題を抱えていました。

その研究を、数百万のパーツと、大規模なデータベース、データセットで繰り返してほしいですね。これが危険性を警告してくれるはずだし、保健当局も慌てるでしょう。

ワクチンによる健康被害が明るみに出ない理由

アーロン・シリ:
もうひとつ、コロナワクチンと他のワクチンの違いを言うとしたら、コロナワクチンは、一挙に展開されたことです。ほぼ全人口、あるいはかなりの割合の人々が、非常に短い期間に接種を受けました。もし健康への影響があれば、それはより顕著で、簡単に発見できるはずです。実際、今はそういうことが起きているでしょう。

他のワクチンの場合は、20年以上かけてゆっくりと普及が進みます。一般的な予防接種は、4歳児だけ、生後6カ月だけ、生後2カ月だけなど、特定の年齢層の子どもたちしか接種を受けません。しかも、新しいワクチンが導入された時は、そのうちの数%にしか投与されません。それはごく一部です。その子たちが20歳になるには、接種から20年かかります。

つまり、たとえワクチンが健康被害を引き起こしていたとしても、それは影を潜めてしまうわけです。そして、その健康問題が「ニューノーマル」になるのです。結局のところ、彼らは「原因は何なのか?」という疑問に答えるべきであり、そのための研究がなされるべきです。

ですから、ワクチンは適切な臨床試験に乏しく、安全性の研究もされていないと言う人たちが正しいのです。彼らは、ただ研究を求めただけなのに、非難され、貶められ、攻撃されました。彼らは、ある意味、プロ・サイエンスの人々です。その意味合いも、人々が理解しているかどうかは知りませんが。長くなりましたが、これが私の答えです。

ヤン・エキレック:
ワクチンの有効性を測る方法があるのですね。長期間にわたる接種の普及と、短期間での接種には違いがあるし、事実を見極めるのが難しいですね。

アーロン・シリ:
その通りです。

10年後あるいは5年後にどうなるか予言しましょう。これは一つの例ですが、ワクチンによる心筋炎や心膜炎の問題を指摘する医師や専門家を、必死に検閲している人たちがいます。実際、CDCは非常に熱心に検閲しています。最新の報告書をご覧いただければ分かりますが、CDCは新型コロナ自体が心臓や心血管系の病気を悪化させると述べています。もし、彼らの説が優勢になったら、それが「ニューノーマル」になるのです。

つまり、米国人の心血管系の問題に対する基準が再設定され、それが「ニューノーマル」になります。現在コロナワクチン接種後に米国人の心臓や循環器系に起きている事が、今後の「ニューノーマル」になるのです。

もし、コロナワクチンが20年かけて、徐々に普及していたら、ワクチンと心臓の問題が関連づけられることはないでしょう。言い方を変えましょう。つまり、たとえワクチンと心筋炎に関係があるとする声が上がっても、ごく少数の人がその主張を検閲する以外、それに耳を貸す人はほとんどいないでしょう。

コロナワクチンは驚くべき「革命」だったので、多くの人が注目しました。臨床試験が行われ、義務化が進められたり自然免疫が無視されるのを目の当たりにしました。科学者たちは注意深く観察しています。いいですか、このワクチンは単なる「製品」ですが、科学者たちはこの「製品」について、メディアで発信し、インタビューに答えています。B型肝炎ワクチンなど、その他のワクチンに詳しい科学者たちも、声を上げています。

エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
大紀元報道記者。東京を拠点に活動。