このほど、中国からラオスへ出国した人権派弁護士の盧思位氏が、ラオスで中国当局によって越境逮捕されたことがわかった。盧氏の妻である張春曉氏は7月29日、NTD新唐人テレビに対し「28日を最後に、ラオスにいる夫からの連絡が途絶えた」と明かした。
中国からの出国が禁じられていた盧氏は先月、中国を脱出してラオスに着いた。この後、列車に乗ってタイへ行き、さらに飛行機で米国へ渡航することを計画していた。
スペインの人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ(Safeguard Defenders)」は7月31日、盧氏がラオスの首都ヴィエンチャンで同国警察によって連行される様子を映した動画を公開した。盧氏の友人がラオス警察に問い詰めたところ、ラオス警察は「彼は中国へ強制送還されるだろう」と答えていたという。
当初から中国が背後にあってラオス警察が「罪もない盧氏」を拘束したことは、ラオスの国内法の適用とは全く関係のない、中国の「越境逮捕」の存在を示唆するものと見てよい。
米国にいる盧氏の妻・張春曉氏は、夫が中国に強制送還されれば間違いなく拘束されて拷問を受けると懸念しており、国際社会に夫の救出を求めている。
「夫(盧思位)がこのような扱いを受けるのは(弁護士として)人権に関する案件を担当したことがあるという、ただそれだけなのです」
妻の張氏は、米政府やラオス政府に対し「夫を助けてほしい」と訴えている。
盧思位氏は四川省の人権派弁護士で、これまでに中国の人権派弁護士が大量に逮捕された「709事件」など多くの「敏感な事件」での弁護を担当してきた。
盧氏は2021年に「台湾へ亡命しようとして中国当局に逮捕された香港の民主活動家ら12人」の事件の弁護を担当したため、弁護士資格を剥奪され、出国を制限されていた。
盧氏の救出に動いている米国のキリスト教系NGO対華援助協会の責任者で牧師でもある傅希秋氏によると、「盧思位氏は、米国とラオスの有効なビザを持っていた」という。傅氏は「すでにラオスの米国大使館に連絡を取り、米大使館からラオス政府に対して盧氏を釈放するよう説得することを求めた」と話した。
今年5月31日の夜に「中国のファイヤーウォールを壊せ運動(拆牆運動、#BanGFW)」の発起人である喬鑫鑫(きょう きんきん)氏も、同じく滞在先のラオスで消息を絶っている。
喬氏は、中国共産党による工作活動の一つで、狙ったターゲットを海外で捕捉するいわゆる「越境逮捕」に遭ったとみられている。
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