中国軍との関係隠しビザ取得 米、中国人留学生を起訴

2023/08/07 更新: 2023/08/07

米ニューヨーク西部地区連邦検事のトリニ・ロス氏は3日、中国軍と関係がある大学で学んだことを隠して、ビザを不正に取得したとして、バッファロー大学に在籍する中国国籍の学生を起訴したと発表した。

逮捕・起訴されたのは、バッファロー大学の航空宇宙工学科に在籍する張佳学模(Jiaxuemo Zhang)被告。昨年12月に米国の博士課程に出願した際の経歴書がビザ申請書と異なっていたことで、不正が明らかになった。

当局によると、張被告は2021年にF-1(学生)非移民ビザ申請をする際に、中国人民解放軍と関係がある北京航空航天大学で学んだことを隠していた。米国では、学生ビザ申請手続きの際、過去に在籍した教育機関をすべて開示するよう申請者に義務付けている。

北京航空航天大学は、中国軍の兵器開発など軍事発展を担う中国の大学「国防7校」に指定されており、軍事実験を専門に行うための9つの研究所を有している。張被告は、うち一つの研究所で軍事研究弁公室副所長、蒋崇文氏の指導を受けていた。

無罪を主張する張被告は、7月に条件付きで保釈されている。

 知的財産窃盗、利用される中国学生たち

米国国際教育研究所によると、米国の大学に入学した中国人留学生の数は過去20年間で急増し、2000年の6万人から2020年には31万7千人へと約5倍に増加した。新型コロナで入国制限が敷かれた2021年には、その数が29万人まで減少したが、中国人留学生が留学生の大半を占めることに変わりはない。

2020年5月、トランプ大統領(当時)は米国の技術を守るため一部の中国籍渡航者の入国を停止する大統領布告を発表した。中国政府が進める「軍民融合」を支援する組織に関わっている、または過去に関わっていた者を対象とし、F(学生)ビザまたは交流訪問者ビザを取得することを禁じた。

布告は、軍事近代化を進める中国は「米国の機密技術や知的財産」を獲得するために、中国の学生を「利用したり、共謀させたりする危険性が高い」と指摘。「わが国の長期的な経済活力と米国民の安全と安心を脅かす」と強調していた。

FBI(米連邦捜査局)も、中国は自国の影響力を強化しようと、米国の企業・大学から人工知能の研究などの情報収集をなりふり構わずに進めている、と繰り返し警告している。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。
関連特集: アメリカ社会