中共ロケット軍の複数の高官が解任されたことを受けて、中国共産党(中共)の軍事新聞は習近平氏への「絶対の忠誠」と「戦争の準備」を求める発言を続けている。
豪州在住の学者である袁紅冰氏は、習近平氏が台湾海峡での軍事行動を検討しているものの、軍官たちが公然と従いつつも秘密裏に反発していると指摘している。
習近平氏は、軍内での彼に対する忠誠を確保するための内部粛清を進めているが、その目的の達成は難しいと述べた。
袁紅冰氏によれば、習近平氏は台湾問題の平和的な解決をすでに放棄し、軍事手段での解決を模索している。これは、台湾や国際社会が中国共産党の「一国二制度」を受け入れる可能性が低いとの認識からである。
また、習近平氏は、香港が平和的手段で返還された後も反中共勢力や香港独立派の勢力が残ったことから、その経験を台湾に生かし、軍事的手段で台湾独立派を排除する必要があると考えている。
しかし、袁紅冰氏は、習近平氏が軍の絶対的な忠誠を求めても、軍官たちにとって習近平氏に絶対的な忠誠を誓う理由が見当たらないと指摘している。
経済の下降や生活の困難、失業の増加により、人々の中共への信頼が低下しており、習近平氏は自分を英明なリーダーとして認識することを求めているが、袁氏はそれは難しいとし、そのために彼が繰り返し粛清を行い、独裁的な地位を保持していると語っている。
軍の再編を進める習近平氏
袁氏は、中共の軍は複雑な状態にあるとし、習近平氏が新たな粛清を進めていると指摘している。この再編は、ロケット軍や戦略支援部隊だけでなく、装備開発部にも影響している可能性がある。
ロケット軍の新司令官、王厚斌氏と新政治委員の徐西盛氏は7月31日に昇進した。
以前から、ロケット軍の高官たちが汚職や情報漏洩の疑いを持たれていたことは知られていたが、今回、前任の司令官と政治委員が何らかのトラブルに関与していた可能性が示唆されている。
3年前に退役したロケット軍の前副司令官、呉国華氏が7月4日に自宅で自殺したとの情報がある。更に、戦略支援部隊の司令官、巨干生氏が調査を受けているとの噂がある。また、この部隊の航天システム部司令官、尚宏中将は、代表資格を失った後、職も失った。
中共の軍の装備開発部は、2017年10月以降の汚職や情報漏洩、監督の不足を再調査すると発表した。この再調査は前装備部長の交代と関連があるとの推測がなされている。
袁紅冰氏によれば、中共軍を大規模に再編する背後には政治的な動機があり、それは主に、習近平氏への軍の高官たちの絶対的な忠誠を確実にするためだ。これは習近平氏の台湾海峡での軍事行動の戦略を全面的にサポートするためとされている。
台湾有事で、共産党軍は敗北、軍事クーデターの可能性も
袁氏によると、中共の内部情報に基づき、習近平氏は軍のスパイ組織を通して、ロケット軍や戦略支援部隊のリーダーの裏での動きを察知したという。これが再編の主要な理由である。袁氏は次のように考えている。
「現在の中共軍の将校たちは、内心で何か思っているにも関わらず、表面的には習近平氏の戦略、すなわち台湾海峡での軍事行動を支持していると公言している」
「そして多くの中共の軍の将校たちが表面上は習近平氏を支持しているように見えるものの、実際には、専門的な視点から台湾海峡での戦争を開始すれば、中共軍が敗れるとの見解を持っている」
「積極的な将校たちは、戦争が勃発した場合、軍事クーデターを起こして自分たちの立場を守るかもしれない」
「習近平氏の「反腐敗」を名目とした政治的粛清の中で、不正に利益を得てきた貪欲な将校たちは、戦争を早期に開始して自らの非合法な利益を守ることを望んでいる」
袁氏の結論として、習近平氏が推進している軍の大規模な粛清は、戦争を遅らせるためではなく、台湾海峡での戦争の実施準備のためであると述べている。
習近平氏は軍に対して。自分に絶対的な忠誠を求めているが、それは容易ではないことが明らかだ。
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