医師はコロナ治療にイベルメクチン処方できる、FDA弁護士が法廷で発言

2023/08/15 更新: 2023/08/15

8日、米国食品医薬品局 (FDA) の弁護士が、新型コロナウイルス感染症の治療にイベルメクチンを処方するのは医師の自由だと認める発言をした。

8日に米国第5巡回区控訴裁判所で行われた口頭弁論で、FDAの代理人を務める司法省の弁護士アシュリー・チャン・ホノルド氏は、 「医師にはコロナ治療にイベルメクチンを処方する権限があると、FDAは明確に認める」 と述べた。

これまでFDAは、コロナ治療のためにイベルメクチンを摂取しないように繰り返し警告しており、政府はその弁護に回っている。

今回の訴訟は、FDAの声明が医療行為を違法に妨害したとして3人の医師が不服を申し立てたが、2022年に連邦判事から却下されたことを受け、控訴した形だ。

「本件訴訟の根幹にある問題は単純だ。FDAが人用医薬品の販売を承認した後、医師と患者の間でその医薬品がどのように使用されるかに干渉する権限を、FDAは持つのだろうか。答えはノーだ」と、医師側の代理人であるジャレッド・ケルソン氏は法廷で述べた。

FDAは2021年8月21日に、X(旧Twitter)に「あなたは馬ではなければ、牛でもない。みんな、冗談抜きでやめろ」と投稿した。この文章と共に投稿されたウェブページには、コロナの予防や治療にイベルメクチンを使用すべきではないと示されていた。当時この投稿はネット上で話題を呼んだ。

他の声明においてもFDAは、イベルメクチンに関して、「コロナの治療薬として認可も承認もされていない」、「Q:新型コロナウイルス感染症の予防または治療のためにイベルメクチンを服用すべきか?A:いいえ」などとしていた。

FDAは命令を下したと言えるか

「FDAは、消費者が処方箋なしで店頭で購入できる馬用のイベルメクチンを用いて自分で治療を行った後に入院したという複数の報告を受けて、これらの声明を出した」とホノルド氏は語った。

イベルメクチンには動物用の製剤もあるが、寄生虫によって引き起こされる疾患に対する人用医薬品として、FDAに承認されている。

またホノルド氏は、誰かに何かをするよう要求したり、何かを禁止したりする意図はFDAにはなかったと述べた。

控訴審の口頭弁論で審理を聞いていた巡回裁判所判事のジェニファー・ウォーカー・エルロッド氏から、「『やめろ』という発言は命令ではないのか。英語の授業では、それは命令文だと教わるだろう」と尋ねられたホノルド氏は、それらの発言が 「単なる冗談(merely quips)」であったと説明した。

さらに、エルロッド判事から「止めろ」 が命令に当たるかについて回答を迫られたホノルド氏は、次のように述べた。

「文脈によっては、その言葉は命令と解釈できる。しかし、ここではFDAが情報提供の記事を共有するための軽いツイートで使用しただけだ。発言は命令のレベルに達していない」

「(この発言は、) 医師がコロナの治療やその他の目的のためにイベルメクチンを処方することを禁止するものではない」

また、同氏は、FDAが声明と共に、コロナの治療法については医療提供者に相談すべきであり、医療提供者によって処方された薬なら服用できると述べたことに言及した。

そして、「FDAは、医師がコロナ治療のために人用のイベルメクチンを処方する権限を持っていることを明確に認めている。つまり、医師が薬を処方する権限や医療を行う権限を妨害しているわけではない」と述べた。

口頭弁論にはエルロッド氏の他に、エディス・ブラウン・クレメント氏とドン・ウィレット氏という二人の巡回裁判所判事も参加した。3人の判事はすべてドナルド・トランプ前大統領の下で任命された。

連邦法

原告はポール・マリック博士、メアリー・ボウデン博士、ロバート・アプター博士である。3人は、イベルメクチンを患者に処方しようとしたことを理由に解雇されるなど、FDAの声明によって職業上の損害を被ったと主張している。

マリック博士は、多くの研究がコロナに対するイベルメクチンの使用を支持しており、FDA自身も認めていると指摘した。

ケルソン氏は、連邦法によって、FDAは薬の副作用の報告などの情報提供はできるが、医療上のアドバイスはできないと指摘した。

同氏は法廷で「FDAは明確に一線を超えた」と語り、「あなたは馬ではなければ、牛でもない。みんな、冗談抜きでやめろ」と投稿したことがその最も明確な例であると指摘した。

また、クレメント判事が「あなた達には医学上のアドバイスをする権限がない」と述べたことは、判事たちの同意を示している。

しかし、ホノルド氏は、政府がこの訴訟を認めていないと指摘した。

また同氏は、議会がFDAに、公衆衛生を保護し、規制された製品が安全かつ有効であることを確認する権限を与えており、「薬の安全な使用に関する情報を大衆に伝えるための固有の権限」を付与していると主張した。

さらに、医師に有利な判決が下されれば、FDAは消費者が風邪薬のNyQuil(ナイキル)でチキンを調理して苦しんでいることや、オピオイド中毒が問題になっていることを報告できなくなる、とホノルド氏は言い張った。

ケルソン氏は、その主張は不正確だとし、FDAが一線を超えて、認可が下りた医薬品の使用法や使用すべきか否かを指示し始めることが問題だとした。

また、ホノルド氏は、FDAが虚偽の、あるいは誤解を招くような情報を提供しても、裁判所はその責任を追及できないとし、「FDAは、他の行政機関と同じように政治的責任を負っている」と述べた。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。
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