日本の福島原発が24日、処理水の海洋放出を行った後、中国共産党(中共)当局は日本の水産物の輸入停止を公式に発表した。しかし、このことで一番影響を受けたのは日本の水産業ではなく、中国の水産業である可能性が大きい。
中共が日本の水産物の輸入停止を発表した後、中国国内では中国産の海産物に対する恐怖が広がり、多くの海産物が売れ残っている。
2022年のデータによると、中国が日本から輸入した水産物の総額は数億ドルに過ぎないが、同年の中国全体の水産業の生産価値は数千億ドルにも上る。専門家の中には「中共のプロパガンダ活動が中国の水産業や漁師に大きな損害を与えている」との声をあげる者もいる。
最近、中国の漁師のライブ配信には悪意のあるコメントが多数寄せられ、その中には「帰れ!」「今、君は他人を傷つけている」「皆、安全のためこれらの商品を買わないように」といった内容のものがある。
漁師が自家製の海産物を紹介するライブ配信においても、「食べられない」「変異した魚」「食べると癌になる」といったコメントが次から次へと投稿されている。
山東省のネットユーザーによれば、中共の日本へのプロパガンダ活動の影響で、中国の海産物全体がボイコットされ、一部の沿岸の漁師は船を売り、他の職業へと転職しているという。
浙江省や福建省のネットユーザーからも、多くの漁師が数百万元のローンを組み、生産設備を購入したにも関わらず、今の状況は多くの家族にとって破滅的であるとの声があがっている。漁業を生計とする家族の経済的な基盤が崩れる恐れがでている。
山東省煙台の水産業従事者、劉彦平(仮名)氏は8月27日、大紀元のインタビューに対して、多くの漁師が9月の漁に備え、資金を投じ、船の修理を終え、出港を待っていると話している。しかし、中共の宣伝活動の影響で、市民は海産物を食べることを避けている。彼女は「生計として漁を行う漁師たちは驚きと困惑を隠せず、この状況がいつまで続くのか予測できない」と述べた。
中国漁業のダメージは3兆元超えか
中国税関総局の公開データによると、今年7月の中国の日本からの水産物輸入額は2億3450万元(約47億円)である。
これは、前年同月比で29%の減少であった。今年1~7月までの輸入総額は19億3700万元(約388億円)であり、2022年と2021年の年間輸入総額はそれぞれ33億9600万元(約680億円)、25億3500万元(約508億円)であった。
東京の野村総合研究所の木内登英氏によれば、日本の水産物の輸出は、中国と香港への輸出が日本の輸出総額のわずか0.17%である。もし中国と香港が輸入を1年間停止しても、日本の国内総生産(GDP)への影響は0.03%に過ぎないという。
しかしながら、2022年の中国の漁業経済の総生産額は3兆元(約60兆円)を超えており、中国市民の海鮮ボイコットは、中国の漁業に大きな損失をもたらす可能性があることを示唆している。
2022年6月28日、中国の農業農村部の漁業行政管理局は、2022年の中国全社会の漁業界の経済総生産額が3兆873億元(約61兆円)であると発表した。そして、2022年の中国の漁業従事者数は合計で1620万人であった。
首都師範大学の元教授である李元華氏は、8月27日に大紀元に対して、今回の中共の宣伝が市民の健康を本当に考慮したものではなく、市民の注意を逸らすための手段であると語った。
李元華氏によれば、最近の豪雨による洪水、経済の悪化、失業、企業の倒産、不動産の不況など、多くの問題が累積しており、市民の不満が高まっている。中共は、これらの問題から市民の注意を逸らすために、反日感情を煽って市民を扇動していると彼は考えている。
李元華氏はさらに、現在、中国国内の人々は海産物の摂取を避けていて、結局一番損失を受けているのは中国の漁業経済と関連する労働者だろうと指摘している。
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