中国共産党は、10月1日を中国の建国記念日「国慶節」と呼ぶ。
しかしこの日は、香港人をはじめ、中国共産党による人権侵害を受ける世界中の華人にとっては「国を悼む日」。すなわち「国殤日(こくしょうび)」と位置づけられている。
この日に「祝うことは何もない」
今から74年前の1949年10月1日、毛沢東が天安門の楼上から「中華人民共和国」の成立を宣言した。
しかし、共和国というその国名とは全く裏腹に、彼らが自画自賛する「新中国」は主権在民の共和制(republic)には程遠く、一党独裁の恐怖政治をおこなう非人道的な国として、まさに2023年の現在に至っている。私たちは今、この厳然たる事実から目を背けることはできない。
中国共産党の言い方に倣って、この日を「国慶節」と呼んでいるのは日本の大手メディアも同様である。
しかし、本当にこの日が「国の慶事の日」と呼ぶにふさわしいか否か、その本質を見極めるべきではないか。この74年間に、どれほど多くの無辜の民が「非正常な死」を強いられたか知れないのだ。
実際「国慶節」を大々的に祝っているのは、中国共産党の洗脳下にある中国国内だけである。
中国の国外にいて、中国共産党に反対の意思を表明する人権活動家や市民は、中国政府および全世界に対して「この国殤日に、祝うことなど何もない」という明確なメッセージを発信している。
(大型連休の期間、上海の黄浦江のほとり「外灘」に集う市民。中国国内は歓喜一色に演出されている。しかし、経済が破綻した現状からして「お祭り騒ぎ」の後に直面する厳しい現実は、免れない)
この日、日本、台湾、英国、米国、インド、ドイツ、オーストラリア、トルコ、ニュージーランド、フィンランド、アイスランド、カナダなどの世界各地で、中国共産党への反対を表明する集会やデモ行進が行われた。
各地の集会では、中国共産党が自国民に対して犯した数々の重大な犯罪、および世界にもたらした被害を列挙して非難するとともに、中国共産党による統治の速やかな終焉を訴えた。
世界各地で燃え上がる「反中共の炎」
英国のロンドンでは、香港人、モンゴル人、チベット人、ウイグル人などの中国共産党の迫害を受ける人たち数百人が反中共デモに参加し、中国共産党に抗議した。
「中国はウイグル虐殺を止めろ」「香港を解放せよ」「チベットの自由を求める」などのスローガンが書かれたプラカードが掲げたデモ隊は、ロンドン中心部のチャイナタウンなどを行進した後、中国大使館へ向かった。
同大使館前でも大規模な抗議集会が開催された。多くの活動家や異見者がスピーチを行い、中国共産党による過去74年にわたる人権侵害や人道に対する罪、宗教弾圧、伝統文化の根絶、中国警察や治安部隊による暴力行為などを挙げて批判した。
このデモをふくめて、いわゆる「国慶節」前後の期間に、英国では香港人による抗議イベントが少なくとも9つある。
いっぽう米国でも、ニューヨークやサンフランシスコ、ロサンゼルス、バークレーなど複数の都市で中国共産党に抗議するイベントが開催された。
また豪州のシドニー市役所前で行われた抗議集会では、習近平総書記を連想させる「くまのプーさん」の着ぐるみと中国皇帝の衣装である「黄袍(おうほう)」を身に着けた民主活動家が登壇し、スピーチを行った。
さらには、この着ぐるみの「プーさん」が中国共産党の「赤い党旗」を足で踏みつける様子を映した動画もSNSに拡散されている。この動画には「現場にはいけないけど、私の代わりに、もう一足踏みつけて」とのリクエストが殺到したそうだ。
(「くまのプーさん」が、中共の「党旗」を踏みつける様子)
日本でも集会「中共を容認すべきではない」
この日は東京・渋谷でも、在日の有志による「反中共デモ」が開催された。
英字新聞社ジャパンタイムズの取材に応じた、ある香港出身の大学生は「香港で抗議することは許されなくなった。しかし、私たちは闘い続けます」と語った。
モンゴル自由連盟党代表や南モンゴルクリルタイ常任副会長などを務める人権活動家、オルホノド・ダイチン氏は、「70年来(中共によって)私たちの歴史は抹消され(モンゴルの)草原は破壊され続けている。いま声を上げなければ、モンゴルにはもう何も残りません」と訴えた。
中国共産党によるウイグル人へのジェノサイド(大量虐殺)は、今も続いている。日本ウイグル協会のアフメット・レテプ会長は、次のように述べた。
「私たちは人間として、そのようなことを容認すべきではない。もし私たちが中共の圧力に屈して口を閉ざせば、それは中共に対して、この世界を(中共の)意のままに操れるという間違ったメッセージを送ることになる」
中国共産党が支配する今の中国は、中国人のみならず、不当に支配された全ての人々の人権が完全に否定された「極めて異常な状態」にある。
そのような中共に対して、日本をふくむ諸外国が、現状のままの中国を是認、容認、黙認、あるいは無関心でいるならば、いずれも中国共産党の非道を認めてしまうことになるだろう。それはまさに、中共に与する「共犯者」になるも等しい。
この10月1日、世界各地で「中共を終わらせよ」と声を上げた勇気ある人々の連帯の輪が、ますます広がっている。
(10月1日、渋谷で行われたデモ行進。「中共を許さず」の連帯の輪が広がっている。)
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