2023年も残すところ1か月となった12月1日の夜、北京や黒竜江省などでは珍しく「赤いオーロラ」が出現。その光景は「夜空が血のような赤色に染まる」という、実に特異なものであった。
古書によると、空が血の色に染まるのは戦禍と王朝の終焉を告げる不吉な兆候であり、このような現象は往々にして「王朝の末年に起こる」とされている。
現地の老人たちは「こんな恐ろしい光景は見たことがない」と口をそろえて言う。ネット上でも近年頻繁に起こる、このような異常気象について「天が怒っている」「流血に関係する災難が起こる予兆だ」「怖い」といった不安の声が広がっている。
「真っ赤に染まった」北京の空
今月1日の夜、「真っ赤に染まった北京の空」を撮影した北京市懐柔区に住むネットユーザーによると、「夜8時近くになると、突然、空に血のような赤色が広がった。色はどんどん赤くなっていき、しばらくして、やがて消えた」という。
同様の現象は北京市門頭溝区に住む市民によっても撮影されており、門頭溝区の政府の公式SNSアカウントでも「1日午後7時57分ごろ、自然保護区の職員が珍しいオーロラの写真を撮影した」と公表している。
(2023年12月1日の夜、珍しいオーロラによって「真っ赤に染まった」北京の空)
黒竜江省でも「空が血の色」
同じ日、北京から1200キロ以上も離れた黒竜江省の複数の地区でも「赤と緑のオーロラ」が現れた。地上に近いところは緑色、上空は血のように赤く染まった。
(2023年12月1日の夜、「真っ赤に染まった」黒竜江省の空)
山東省、地震前日に「赤く染まった空」
今年8月6日、中国東部の山東省平原県でマグニチュード(M)5.5の地震が発生した。
当時、省内の済南や德州、済寧などの地区の空にも「奇妙な赤い光」が現れ、その現象は30分以上続いた。「地震の前日、空は真っ赤に染まっていた」として、多くのネットユーザーがその画像をネットに投稿している。
福建省や浙江省でも
昨年5月11日夜には福建省福州市、5月7日には浙江省舟山市の空も真っ赤に染まった。
(2022年5月7日、「真っ赤に染まった」浙江省舟山市の空。中国のSNSより)
古書では「戦禍と王朝の終焉を告げる兆候」
中国の古い書物によれば、歴史上、空が血の色に染まる現象は、往々にして王朝の末年に現れるという。その意味するところは戦禍や現政権の崩壊、さらには君主の不吉な運命とされている。
正史にも記録されている歴史的に有名な予言者、唐の時代の李淳風氏が書いた『乙巳占』のなかにも「空が血の色に染まるのは、戦禍や流血などの不吉な兆候だ」と指摘する記載がある。
中国の歴史書『旧唐書』(くとうじょ)のなかにも、以下のような記載があった。
「755年に安史の乱(あんしのらん)が勃発した後、玄宗皇帝が長安を捨てて逃亡する途中、空に血のような赤色が出現した。この戦乱によって、唐の基盤は完全に揺らいだ」
明(みん)王朝も、その滅亡前夜に、空が血のように赤く染まる異象が現れたことが、清代に編纂された中国最大の叢書『四庫全書』に記載されている。
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