中共が隠蔽したい「真実」 流出したカルテがそれを暴いた=中国

2023/12/21 更新: 2023/12/21

今月11日、香港出身の著名女優キャシー・チャウ(周海媚、57歳)氏が死去した。所属事務所の声明によれば、チャウ氏は「病気治療の失敗により亡くなった」という。

しかし、ネットに出回っている、チャウ氏が運び込まれた北京の病院「北京中医医院順義医院」の電子カルテによると、その死因は「中共ウイルス(新型コロナ)である可能性が高い」と指摘する声が多い。

なぜカルテが漏洩したのか?

もちろん患者のカルテは通常、病院で厳重に保管されており、外部に漏洩されるべきものではない。チャウ氏のカルテを外部に流出させたとして、病院職員とその友人2人が逮捕されている。

中共の官製メディアによる政治的な扇動もあって、中国のネットには「著名人のカルテ漏洩」をめぐる非難の嵐が巻き起こっている。なかには、一部の弁護士までが「患者のカルテを流出させた者は、投獄されるべきだ」などと発言している。

しかし、著名人のカルテが漏洩するケースは今回が初めてではない。2019年10月、著名ポップ・ミュージック歌手の林俊傑氏(通称JJ)のカルテも流出している。

 

2019年、著名ポップ・ミュージック歌手の林俊傑氏(通称JJ)が中国の病院で治療した際に使用した点滴針などの医療用品が、医療従事者によって高値でファンに売られていたことがわかった。(中国のネットより)

 

江蘇省鎮江市の「第一医院」で治療を受けた際に、林氏が使った点滴針などが医療従事者によって高値でファンに売られていたと中国メディアが報じている。

SNS上には、看護師たちが並んで、順番に林氏の使った病床で寝たり写真撮影する動画も流れている。

すでに引退した、言わば「過去の人」であるキャシー・チャウ氏に比べたら、林俊傑氏は今も現役の人気スターである。しかし、林氏のカルテ流出の件は、それほど注目されなかった。

一方、チャウ氏となると、なぜ官製メディアまでもが乗り出して世論誘導に躍起になっているのか。

時事評論家の李沐陽氏は、自身の時事系セルフメディア番組「新聞看点」のなかで「理由は、彼女の死因にある」と指摘した。

「通常の場合、患者のカルテをリークする行為は容認できない。しかし、チャウ氏の場合は、その流出したカルテが、彼女の真の死因を暴くことになった」と李氏はいう。

 

ネットに流出したチャウ氏の「北京中医医院順義医院」の電子カルテ。(SNSより)

 

流出カルテが明かす「真相」

ネットに流出したチャウ氏のカルテが本物であることは、流出元である病院が証明している。そのカルテには、チャウ氏の同僚が医師に対し「彼女は1週間近く咳が止まらず、呼吸困難な症状があった」を告げていることがはっきりと記されている。

また、カルテのなかには「結膜出血、直径約8mm」とも記されている。世界保健機関(WHO)が公開した情報によると、新型コロナの変異株オミクロンXBB.1.16に感染した場合、結膜出血の症状が現れる。

つまり、チャウ氏が感染したのは新型コロナであり、しかもオミクロンXBB.1.16株である可能性が非常に高い、ということだ。

この変異株は現在12の国で確認されている。米英の衛生当局によれば、この変異株はこれまでに知られている新型コロナ変異株のなかでも、最も増殖が速く、感染力も強い。医療専門家は、この変異株が新たな感染の波を引き起こす可能性があると予測している。

一方これまで、マイコプラズマ肺炎やA型インフルエンザだと、まさに黒を白と言い換えて主張してきた中共当局にとって、それが「新型コロナ」であり、ましてやXBB.1.16株が中国で蔓延しているという事実は、最も隠蔽したいことである。

そのような折、漏洩したチャウ氏のカルテは「現在、北京でオミクロンXBB.1.16が蔓延している」という真実を明らかにした。これを逆に見れば、真実を明らかにするために漏洩されたのか、という推論も成立する。

中共当局は、新型コロナの感染拡大を隠蔽し、情報封鎖を行っているため、現在、中国の病院では新型コロナの検査が行われていない。たとえ、新型コロナへの感染が疑われる場合でも、カルテにはそう記されることはなく、他の病名で呼ばれるのだ。

しかし、実際の治療方針や使用する薬剤は、新型コロナの治療に基づいている。

中共による、この「すり換え」作戦は、多くの人を欺いた。人々は自身が新型コロナに感染していることを知らされず、カルテに記載されている「別の病」であると信じ込んだ。その結果として治療方法を誤り、悪化させて肺が白くなり、そのまま死亡する人も少なくなかった。

その人物は「第二の李文亮」ではないか?

2019年12月に、中国における新型コロナ発生の最も初期の段階で、中国政府の発表前から「原因不明の肺炎の存在」をいち早く察知し、同僚の医師たちに警告を発したのが、武漢の眼科医・李文亮氏(33)だった。

李医師は「デマを散布した」として、武漢の公安当局に呼び出され、訓戒処分を受けた。当局の処分に服する署名をさせられるとともに、国営の中国中央テレビ(CCTV)の報道番組でも、連日のように「デマ散布者」として伝えられた。

その後、李医師は自らも中共ウイルス(新型コロナウイルス)に感染し、妻子を残したまま死亡する。

若く誠実な医師・李文亮氏の死から3年半以上が経つ現在、真実を語って弾圧された李医師の無念を想起するとともに、今回、チャウ氏のカルテをリークした人物は「第二の李文亮ではないか」と、李沐陽氏は自身の時事報道番組の中で指摘している。

李沐陽氏は、こう述べた。

「チャウ氏のカルテをリークした人物(2人)に、どんな目的があってそうしたのかは分からない。しかし私は、医学的知識を持っている彼らが、チャウ氏のカルテを見て彼女が新型コロナで死亡したことを知った。そしてこの問題が隠蔽されることの重大性に気づいたため、良心の呵責と一市民としての責任から、この真相を人々に伝え、現在北京での疫病蔓延の状況が深刻であることを警告しようとした。そうであると、私は信じたい」

「しかし、ネット上では、この2人に対するバッシングが広がっている。率直に言って、私はこの2人が心配だ」と李沐陽氏は懸念を示した。

李沐陽氏が懸念を示した「私はこの2人が心配だ」には、中国であれば、口封じのため命を狙われるという意味がともなう。真実を暴露するため、危険を冒して機密情報を流出させたに等しいからだ。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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