世界で最も多く豚肉を生産し、また最も多く消費する中国。しかし、その中国では、今年もアフリカ豚熱(ASF)の感染が爆発している。
今年も、アフリカ豚熱が中国の多くの省(特に北部)で大流行していることを示す内部文章(四川省畜牧業協会が出典)が流出している。ただし、中共当局は未だに感染状況を公表していない。
中国では「殺処分されない」
養豚場をはじめ中国の農場は、家畜や家禽の疫病が発生してもすぐには政府に報告せず、隠蔽しようとする傾向がつよい。そのため外部からは、本当の感染状況を把握することが困難になっている。
中国問題に詳しい時事評論家の蘭氏は、次のように指摘する。
「中国でアフリカ豚熱が発生しているが、政府は公表しない。養豚業者から屠殺場、豚肉販売業者まで、みな知っている。しかし、金儲けのために、誰も何も言わないだけだ。知らされないのは私たち消費者だけである」
「中国では、豚が感染しても(規定上は全て殺処分だが)実際には殺処分されることはない。安い値段で売られるだけだ」
中国産加工肉から、ウイルス検出
台湾の農業部(農業省)獣医研究所は今月18日、中国人旅行客が台湾へ違法に持ち込んだ中国産の豚肉ソーセージから、新型のアフリカ豚熱(ASF)ウイルスが検出されたと発表した。
「新型ウイルスが近隣諸国に広がり、新たな流行の波を引き起こすおそれがある」と同研究所は警告する。
また、同研究所によると、今月15日時点で台湾に違法に持ち込まれた肉製品1733件のうち、79.3%が中国から持ち込まれているという。
台湾で、中国の肉製品から検出されるアフリカ豚熱ウイルス陽性率は12.4%である。
アフリカ豚熱は、1912年にケニアでの発生が最初の事例とされる。中国では2018年に初めて確認され、その後中国全土に広まったことで、これまでに延べ数百万頭の豚が殺処分された。
このアフリカ豚熱(African swine fever;ASF)は、豚熱ウイルスに豚やイノシシなどに感染し、しかも致死率が高い伝染病。予防に有効なワクチンや治療法はなく、現段階では殺処分する以外に対応策はない。
感染豚は、すでに流通している
「業界のことは熟知している」という中国の養豚業者は今年3月、エポックタイムズに対し、次のように警鐘を鳴らしている。
「豚熱は、すでに常態化している。(中国の)市場には豚熱に感染した豚の食肉が(殺処分されずに)多く出回っている。消費者の食卓にも、間違いなく上がっているだろう」
「豚に使用する薬品はあまり良いものではない。そのような薬漬けの豚肉を人間が食べれば、間接的にその薬を摂取しているようなものだ」
この養豚業者は、危険を少しでも避けるために「外食では、あまり豚肉を食べないほうがいい」と注意を促した。
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