昨年の中国は、恒大集団のデフォルトに象徴される中国経済の低迷や、秦剛前外相や李尚福前国防相などの突然の解任、年末には新しい疫病流行が発生し、騒然とした1年だった。
どの事柄も決して昨年で終わる問題ではなく、どれも中共の構造的な問題で今年も続き、それどころか益々拡大することが予想される。
豪州在住の学者袁紅氷教授は大紀元のインタビューに応じ、2023年に多発した高官の粛清の動きから、中共内部は反逆心や野心が満ちあふれており、来年は政治的に非常に危険な年であると述べた。
2024年、突発的反乱の可能性
中共の政治状況に精通する法学者の袁紅氷教授は12月22日、大紀元に対し、中共政権にとって、偶発的な出来事は存在しないとし「2024年を通じて、中共の暴政は独自の政治、経済、文化の論理に従うであろう」と述べた。
外交面では、中共は一方で自由民主国家から孤立する傾向が強まり、専制国家、テロ支援国家との戦略的連携を強化する。これらの国家には、ロシア、北朝鮮、イラン、アフガニスタンのタリバンなどが含まれるとしている。
また中共党内は不穏な雰囲気が漂っている。
袁教授によると習近平は現在、高度な技術を備えた秘密警察、特務機関に頼って政権を維持しているが、現在、中国の官僚の間や私的な場では、習近平を嘲笑し軽蔑することが一般的な現象となっており、党内では、党員の怠慢や無関心が増加し続けているという。
袁教授は「現在、社会の不安定さと民心の動揺だけでなく、政府内の不満が高まっており、突発的な反乱の可能性がある。2024年、習近平は極めて危険な状況に直面している」と述べている。
習近平の「3つの武器」
袁教授によると、習近平は政権の統治において、公安、国家安全部、中央紀律検査委員会という「3つの武器」を持っているという。現在、公安は王小洪氏が率いており、国家安全部は陳一新氏が管理している。
公安の主な任務は、社会における習近平への反抗や共産党への不満を抑えることで、国家安全部の職務は、海外および国内のスパイ活動に対抗し、中共の高官に対する政治的事件を調査し、これらの高官が習近平に対する不審な行動をとっていないか監視することだという。中央紀律検査委員会は中共の全官僚の政治的および経済的な問題を監視している。
最近、習近平の覚えもめでたく、特に目立っているのは国家安全部長の陳一新氏だという。
海外ビジネスマンを大いに震え上がらせている改正「反スパイ法」の施行後、国家安全部は外資系企業の従業員を逮捕するだけでなく、「経済安全」に関する声明を頻繁に発表し、国家安全機関が国家金融領域の安全を脅かす犯罪を監視、防止、対処することを宣言している。
袁教授によると、国家安全部がこのような行動を取るのは、公安部が経済領域で本来持っていた一部の統治に介入していることを意味する。
袁教授は 「これは、本来公安部が行うべき権限範囲への侵害である。この点からも、陳一新の野心が非常に大きいことが分かる」とし、公安部と国家安全部、すなわち陳一新氏と王小洪氏の間には激しい権力闘争が存在することが明らかだと述べている。
習近平の深刻な統治危機
2023年に注目された事件として、秦剛前外相と李尚福前国防相の解任やロケット軍の粛清がある。公式情報は未だ不透明だ。最近、外国メディアやネット上で様々な情報が流れ、秦剛氏が亡くなったり、劉鶴氏が粛清されたという噂も流れている。
袁教授は、これらは役に立たないゴシップニュースにすぎないが、習近平が大きな危機に直面していることを示唆しているという。
「彼は突然、自分が裏切り者に囲まれていることに気づいた。自分の信頼する側近が実際には裏切り者であったことが、現在彼が直面している最大の危機だ」
「習近平にとって、秦剛は突如裏切り者に変わった。そして、ロケット軍幹部や秦剛の調べを通じて、『裏切り者』の範囲が次第に広がり、李尚福や戦略支援部隊の指導層、さらにはロケット軍や国防部と関係する軍事企業の高官にまで及んでいることがわかった」
袁教授によると、「現在、秦剛は依然として調べられている最中で、李尚福も同様である。さらに、調査の範囲は外交系統にまで拡大している」という。
台湾侵攻はいつ実行?
袁紅氷教授によれば、2024年に中国経済がさらに大規模に下落するのは避けられない傾向であり、失業の波が高まり、生活問題が深刻化しているという。中共の幹部たちは習近平への不満を抱き、「躺平」(何もせず、横になる)というサボタージュの態勢を取っているため、中共の政治システムの運営効率は低下の一途を辿っている。一方で、こうした国内危機が深まる中、習近平が台湾に対して危険を冒す可能性は高まっている。
最近のバイデン米大統領との会談では、習近平は台湾攻撃のタイムテーブルを否定し、「誰も私にそんなことを言ったことはない」と述べているが、習近平の台湾統一の意志は強い。
袁教授は、習近平がいわゆる台湾問題を解決するためには他人の提案は必要なく、習近平は完全に自身の判断で決定されると考えており、「2025年、つまり米国の大統領選挙後に、台湾海峡で戦争を起こす可能性が非常に高い」と分析している。
袁教授によれば、習近平とその側近は、2024年秋の米大統領選挙が再び米国を分断し、台湾海峡の情勢に対する米国の国家意志と能力を弱めると考えているという。
そして最後に、「台湾社会は平和主義の幻想を捨てるべきだ。中共は台湾の選挙に全面的に介入している」と強調し「私は台湾の自由民主制度が中共による選挙介入の陰謀を打ち破ることを信じている」と述べた。
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