政府は27日、「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度の導入を決めた。これに対し国民民主党の玉木雄一郎代表は、「ハニートラップ」を防ぐ評価項目がないことや、大臣クラスが評価の対象外であることを指摘し、法律案の修正を求めた。
中国共産党は他国の機密情報や科学技術を入手し、社会を混乱させるため、積極的にスパイ工作を展開している。なかでも多用するのが、男女関係を利用した「ハニートラップ」だ。米情報機関元官僚のデル・ウィルバー(Del Wilber)氏によると、中共スパイは性交渉の場面を写真や映像で記録し、脅迫に使う。「ハニートラップにはめられた政治家は、中国当局への情報提供を強要されている」。
こうしたなか、玉木氏は29日のXへの投稿で、「適正評価の調査項目の中に「異性(同性)交友関係」が入っていない。要は、ハニートラップの有無が調査項目になっておらず、あくまで考慮項目にとどまっている」と問題提起した。米国のセキュリティー・クリアランス制度では、薬物の乱用やアルコール消費、性行動も勘案されていると強調した。
閣議で決定された法律案は、重要な情報を扱う人員について、犯罪歴や薬物使用歴、家族の国籍など7項目を調査することとしている。
さらに玉木氏は、「行政機関の長、大臣、副大臣、政務官、官房副長官、総理補佐官などが、適正評価を受けずに重要経済安保情報にアクセスできる」ことや、特定秘密保護法も同様の扱いであることを指摘し、修正が必要だと述べた。
セキュリティー・クリアランスは、政府が保有する安全保障上重要な情報にアクセスする政府職員や民間人に対し調査を行い、信頼性を確認した上でアクセスを認める制度。保護の対象となる情報を「重要経済安保情報」として指定する。資格付与に際し、犯罪歴や情報の取り扱いに関する経歴などを調べる。漏洩には5年以下の拘禁刑か500万円の罰金、またその両方を科す。
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