腐敗進む中国共産党 止まらない軍粛清

2024/03/05 更新: 2024/03/05

2月27日に中共全国人民代表大会(全人代)からの公告により、全人代代表11人の資格を終了したことが明らかにされた。

その中には、中国共産党軍(中共軍)の粛清に関連する2人が含まれていた。1人目は元陸軍装備部長で後に中部戦区副司令官となった李志忠中将、2人目はロケット科学者の馮傑鴻氏である。

昨年の中共政府の重要会議「両会」から現在に至るまで、中共軍の粛清は止まることがなく、中共の公開報告によると、これまでに粛清された軍の将校には元中央軍事委員会委員、国務委員、国防部長、初代ロケット軍司令官の魏鳳和上将や元中央軍事委員会委員、国務委員、国防部長、装備開発部部長の李尚福上将、ロケット軍第二代司令官の周亜寧上将などの高級幹部など多数が含まれている。

その他、元中国運載火箭技術研究院長・王小軍、元中国航天科技集団董事長・呉燕生、元中国兵器工業集団董事長・劉石泉、元中国航天科工集団副総経理・王長青などの関連部署の高官なども粛清の対象となっている。

実際に粛清された軍の将校の数はこれよりも多いことが確実で、去年12月、中国の高官政治を研究するカナダのシンクタンクである「Cercius Group」の分析家は、中共のロケット軍に対する調査で、約70人が連行された事を明らかにしている。

これまでに「失踪」したとされる高級将校および関連する官僚について、中央規律検査委員会や軍事規律検査委員会は、重大な違反や違法行為により調査されているといういかなる情報も公表していない。

中共当局は、一部の高官の処理について、ためらいがちで、曖昧な態度を取り続けている。

例えば、李尚福は去年8月30日に「失踪」したが、「李尚福はどこにいるのか」という記者からの絶え間ない質問に対して、中共全国人民代表大会は、約2か月後の去年10月24日に、ようやく公告を発表し、李尚福の中央軍事委員会委員、国務委員、国防部長の職を解除した。李尚福がなぜ解任されたのか、全人代はいかなる理由も提供していない。

今年2月26日には、中共国防部のウェブサイトで密かに李尚福の中央軍事委員会委員の職を削除した。現在、李尚福は依然として中共中央委員会の委員および全国人民代表大会の代表である。

こうした中共の高級将校および関連する高官の「失踪」に関する情報が非公開となっていることについては、中共内部の複雑な力関係や、国内外に対する体面(イメージ)の維持、軍の安定性と信頼性に関する深い懸念、そして中共が中国の人々を真に代表しているかどうかについての根本的な疑問を抱かせる。

メンツとイメージの維持

中共の指導部、特に習近平にとって、メンツは非常に重要な概念である。習近平が直接昇進させ、重用した高級将校、関連する高官の不祥事や「失踪」は、習近平自身の判断力と指導力に対する疑問を投げかけている。

もし習近平政権がこれらの人物が重大な違反行為により調査されていることを公に認めると、彼の権威と信頼性が損なわれ、国内外の見方に影響を与えかねない。

したがって、中共はこれらの問題をできるだけ秘密にし、公開が必要な場合でも情報を最小限に留める戦略をとっている。

軍内部の安定性への懸念

習近平は軍内部の粛清を進め、権力の集中化を図ってきた。過去には170人以上の高級将校が調査され、その中には非常に高位の将校も含まれていた。

これらの動きが、習近平に対する反感を生み、軍内部には習近平と彼の政策に反対する声が存在している。こうした将校や彼らの支持者からの反乱や抵抗の可能性が常に懸念されている。

軍の弱点と腐敗の露呈

中共第20回大会後に行われた粛清は、特にロケット軍を始点として、軍の腐敗問題を浮き彫りにした。

ロケット軍は中国の核心的な戦略的軍種であり、その弱点が露呈することは国家安全保障にとって大きなリスクを意味する。

過去のミサイルの失敗や腐敗に関する報告が中国の軍事能力に疑問を投げかけ、習近平の軍事指導部に対する信頼を損なう可能性がある。公にすることで、軍の士気や国際社会における中国の戦略的地位に影響を及ぼす恐れがある。

中共の代表性の疑問

中共が中国の人々を真に代表しているかについての疑問は、政治的透明性の欠如と密接に関わっている。

例えば、高級将校の一人が短期間で重要な職務から解任された場合、その理由が公に説明されないことは、党が中国の人々に対して責任を果たしていないことを示唆する。

これは、中共の権威と合法性に関する根本的な問題を露呈し、国民との間の信頼関係を損なうものだ。

習近平政権下での政治的、軍事的動向に対する国内外の注目が高まっている。

王友群
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