[香港 8日 ロイター] – 香港政府は8日、スパイ行為などを取り締まる国家安全条例案を公表した。立法会(議会)が同日、審議を開始した。香港政府トップの李家超行政長官は早期の制定を訴えた。
国家への反逆やスパイ行為、外部からの干渉、国家機密の窃盗、扇動を取り締まる規定を盛り込んでおり、市民の自由がさらに後退するとの懸念がある。
国家への反逆には最高で終身刑、スパイ行為は20年の禁錮刑、国家機密の窃盗には10年の禁錮刑を科すと定めている。同時に、人権を尊重・保障し、言論などの自由を守ると記されている。
審議には数週間を要する可能性がある。
香港政府は「地政学がますます複雑になり、国家安全保障上の喫緊のリスクがなおある」とした。
投資家の一部は立法手続きを急ぐ動きは憂慮すべきだと指摘。オリエント・キャピタル・リサーチ(香港)のマネジングディレクター、アンドリュー・コリアー氏は、制定を急ぐのは市民の反対を懸念しているからだと指摘。「個人の権利を担保するガードレールが設けられない限り企業は不満を感じるだろう」と述べた。
条例案はまた、警察が逮捕者を拘束できる期間について、裁判所が承認すれば最長14日まで可能にするとした。現在は48時間となっている。
外国勢力と共謀した扇動行為も現在の禁錮2年から最高で10年に引き上げた。
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