英政府は25日、4000万人の有権者名簿の不正入手や英議員へのサイバー攻撃に関与したとして、中国企業1社と中国人2人に対する制裁を発表した。英国内の資産が凍結され、英国への入国も禁じられる。
制裁についてダウデン副首相は議会で、「英国は悪意あるサイバー活動を容認しない。我が国の民主制度と価値観を守ることは、英国政府の最優先事項だ」と強調した。
制裁対象となったのは、中国共産党と繋がりを持つハッカー集団APT31の関係者2人とフロント企業。BBCなどによると、14年から22年に渡り英選挙管理委員会のシステムにサイバー攻撃を仕掛け名簿を不正入手しようとしていた。
APT31は、対中政策に批判的な超党派議員連盟「対中国際議員連盟(IPAC)」のメンバーで、保守党のイアン・ダンカン・スミス元党首やティム・ロートン議員、スコットランド国民党のスチュワート・マクドナルド議員などのアカウント攻撃を行なっていた。スミス氏らは、ウイグル族弾圧を非難したことから中国共産党に制裁されていた。
英国の選挙管理委員会は昨年8月、「敵対的な主体」がサイバー攻撃を仕掛け、約4000万人分の選挙人名簿のコピーなどが盗まれたと公表。当時、この主体についておおやけにしなかった。今月に入って、英国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は中国共産党政府関連のサイバー組織からの攻撃を受けた可能性が高いと明らかにした。
駐英中国大使館の報道官は25日、中国が英国でサイバー攻撃を行ったとする疑惑は「完全に捏造であり、悪意のある中傷だ」と反論している。英中関係は近年、人権問題や香港に対する国家安全保障法をめぐり悪化。サイバー攻撃や国会への干渉への懸念も高まっている。
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