国連安全保障理事会の専門家パネルによる報告書によると、2023年に約10万人の北朝鮮労働者が海外で働き、北朝鮮に約5億ドル(約740億円)の収入をもたらしたことが明らかになった。収入は大半が北朝鮮当局に送金されており、海外労働者は金正恩政権による制裁回避の手段となっている。
同報告書によれば、労働者たちは約40か国に送られ、建設、接客、医療、IT分野などで働いていたという。「これらの労働者は当初、学生や観光ビザで派遣され、一部は偽の国籍や身分証明書を使用している」と報告書は述べている。「大多数は2か国で働いていると報告している」とのことだが、その国名は明らかにされていない。
労働者らは収入のごく一部しか手元に残せず、残りは派遣機関に没収される。
報告書はまた、北朝鮮が新型コロナウイルスの世界的流行の後、中国との国境がさらに開放されれば、新たに約40万人の労働者を海外に送る契約を結んでいると述べている。
国連安全保障理事会決議2397号により、平壌に核・ミサイル計画に流用可能な資金や資源を提供しないよう、すべての北朝鮮労働者は2019年末までに帰国し、それ以降は北朝鮮市民への新規労働ビザの発行が禁止されているはずだった。
北朝鮮から派遣されたIT労働者約3千人が海外で、1千人が国内で働いており、年間2億5千万ドル(約378億円)から6億ドル(約908億円)の収入を生み出していると推定されている。ラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じる情報筋によると、ロシアと中国には数万人規模の北朝鮮労働者がいる。昨年12月の時点で中国だけで10万人以上いると語った。
制裁は北朝鮮労働者を保護するように改正されるべきだと人権活動家は指摘している。「制裁が調整されれば、より幅広い国で働くことができ、ビザ状況も正規化され、国際労働機関の基準へのコンプライアンス向上や、労働条件と賃金配分の改善を促すことができるだろう」と述べている。
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