武漢の感染状況を報道したことで投獄された、中国最初の市民ジャーナリストとなった張展氏は今月13日に出所する予定である。
しかし、彼女の家族や友人たちは中国共産党当局から「出所した彼女のお迎え」および「メディアの取材を受ける」ことを禁じられているため、彼女が果たして予定通り釈放されるのか、また釈放されたとして、その後の所在については、現在不明である。
弁護士でありながらも人権活動に取り組む張氏は中共ウイルス(新型コロナ)の感染拡大が始まった2020年2月、発生地であり流行が最も深刻だった武漢市を訪れて、現地の感染状況をSNSを通じて生中継して伝え、当局の感染対応を批判した。
同年5月、張氏は当局によって拘束され、12月に「嘘の情報を流し社会を混乱させた罪」で懲役4年の判決を言い渡された。張氏は、弁護士資格をはく奪されており、張氏の代理人を務める弁護士も免許をはく奪された。
仏パリに本部を置く国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)東アジア事務所(台北事務所)のAleksandra Bielakowska氏は米政府系放送局のボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、「張展氏が本当の意味で自由になれるかどうか、非常に心配している」と話している。
Bielakowska氏によると、「RSFとつながりのある中国国内にいる多くの人権活動家や弁護士らは最近、いずれも中共当局からの警告を受けている。彼らは張氏への支援を禁じられている」
「過去にも、中共(中国共産党)に投獄されたジャーナリストや報道の自由を守ろうとした人たちは、釈放された後、そのほとんどが当局によってパスポートを没収されている。彼らは国を出ることを制限され、監視下に置かれている。なかには再度拘束される人もいる」という。
2021年11月、「国境なき記者団」は張展氏に「2021年の報道自由勇気賞」を授与し、彼女との連帯を示し続けている。
これに先立ち、同じく中国での中共ウイルス感染流行初期に、感染状況を伝えたことで約3年あまり投獄された市民ジャーナリストの方斌(ほうひん)氏は昨年出所したが、出所後も依然として当局の監視下に置かれた。
当局による圧力のため、方氏の家族は彼の身柄引き受けができず、さらに方氏が所有していた会社や財産が「消えていた」ことがわかった。
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