アメリカ社会 アラブの春から始まった民族大移動、国を捨て、他国で生きるとは? その影響とは?

大量移民は国家消滅への道(上)

2024/06/04 更新: 2024/06/06

 

米国ジャーナリストで、大紀元の寄稿者アレックス・ニューマン氏は、新たなグローバルな大規模移民の波が、各国の国民としての結束を弱め、次第に自国のアイデンティティを喪失する可能性があると指摘した。

ニューマン氏によると、この状況は国際機関が権力を強化し、最終的には世界政府の役割を担うための絶好の機会を提供する。同氏は最近、EpochTVの番組「クロスロード」でこのように語った。

ニューマン氏は故ピーター・サザーランド国連移民局長の言葉を引用して、大規模移民の目的の一つは「国の均一性を破壊すること。彼らは、人々がほとんど共通点を持たない多文化社会を望んでいる」と述べた。

BBCの報道によると、「グローバリゼーションの父」と呼ばれるピーター・サザーランド氏は、2012年にイギリス議会で、EUは加盟国の均一性を「弱体化」させ、移民に対してもっと開放的になるべきだと発言した。

サザーランド氏のこの発言をきっかけに、欧州議会のある議員が調査を行った。

サザーランド氏は2015年の国連での内部インタビューにおいて、国連移民局長を務めていた当時、政府間の協力と、「主権は幻想に過ぎない」、「国境やフェンスに隠れる時代はとうに過ぎ去った」ことを認識すべきだとの見解を示した。

ニューマン氏によると、伝統的に国家は家族の拡大形態として捉えられてきた。各国の人々は多くの共通点を持っている。たとえばヨーロッパでは、ハンガリー人、フィンランド人、フランス人、ドイツ人など、各国は独自の文化、言語、民族性を共有していた。国家が他国に征服されたり、複数の国が大帝国の下で統治されたとしても、それぞれの国は自国のアイデンティティを保持していた。

ニューマン氏は、大量移民は「国民国家そのもの」を弱体化させ、これは「非常に意図的かつ戦略的に」行われていると主張している。

「欧州ではこれが急速に進行しているのを我々は見ている。欧州は、炭鉱で空気の安全性を確かめる籠の中のカナリアのような存在だと思っている」と述べた。

先住民が少数派に

ニューマン氏は今や、ヨーロッパの西部や北部の大都市において、「先住民が少数派になっている」と指摘している。

EUの首都でもあるブリュッセルでは、2023年の時点でEU外の国籍を持つ人々が60パーセント以上を占め、ベルギー国籍の人口は25パーセントに過ぎなかったとベルギー統計局が報告している。

World Population Reviewによると、ドイツのフランクフルトでは、移民の背景を持つ人々が2015年には人口の50パーセントを超えた。

イギリス議会の報告書によれば、2021年にはロンドンの人口の37パーセントが英国外で生まれた人だった。

また、World Population Reviewによると、スウェーデンの主要都市マルメでは、170か国以上から来た人々が約150の異なる言語を話し、住民の40パーセント以上が外国の背景を持っていた。

ニューマン氏はこれらの大都市に住む先住民は、共通の言語や文化、宗教を持たない異なる国籍の人々に囲まれると、国家という概念に対して疑問を抱き始めると語った。

「地図上に引かれた国境線という任意の線はなぜ存在するのだろうか? なぜ最初にヨーロッパの市民になり、究極的には世界の市民にならないのだろうか。それが最終的な目標だ。彼らは状況が変わり得ないと確信するまで、公然とは表明しないだろう」

アメリカの場合は違っている。アメリカは民族、文化、宗教の共通性に基づいて建国されたわけではない。ニューマン氏によれば、「アメリカはある理念に基づいて建国された」

その理念は、アメリカの建国の文書に記されている。ニューマン氏は独立宣言を引用している。「全ての人は平等に創造され、創造主から不可侵の権利を授けられている。」そして、政府は「これらの権利を守る」ために存在すると述べた。

この理念が、「世界中の様々な国から人々を惹きつけ、アメリカに移住し、アメリカ国民としての一員になることを促した」

ニューマン氏は、この理念は「地域統治や世界統治への移行を目指して、国家や国民を弱体化させる努力の中で」攻撃されていると主張している。

グローバル政府

ニューマン氏は、グローバル化に向けた重要なステップは地域化のプロセスだと指摘している。

「過去数十年にわたるグローバリストの戦略家たちは、真のグローバル政府への道は地域政府を経由することにあると公に述べている。そして、これらすべてを単一の世界システムに統合するのだ」

ニューマン氏によれば、EUやユーラシア経済連合、アフリカ連合などの超国家組織は、地域政府の一形態である。

世界政府に関して、ニューマン氏は、国連はすでに警察、軍隊、裁判所制度、複数の法執行プログラム、環境官僚機構、保健官僚機構、知的財産制度など、政府の「あらゆる特性」を備えていると見ている。

ニューマン氏は具体例として、国際刑事裁判所(ICC)は最近、ガザ地区での戦争行為に関連して、イスラエルの首相ネタニヤフ氏を起訴しようとしたが、イスラエルはICC(国際刑事裁判所)設立の根拠となるローマ規程に署名していなかったと指摘している。

 もしICCがネタニヤフ首相の起訴に成功すれば、それは地球上のあらゆる人々に対するグローバルな法的権限を行使する前例となるだろうと述べている。

 

 

リポーター
エポックタイムズのベテラン調査記者。EPOCH TVの番組「クロスロード」で司会を務める。超限戦、非対称戦、ハイブリッド戦、破壊工作の専門家として知られており、中国共産党や破壊工作などに関する10年以上にわたる調査・研究を通して、世界が直面する脅威と政治情勢に対する独自の見識を持つ。
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