食の安全保障を見据えた「ローカルフード法案」参議院に提出

2024/06/11 更新: 2024/06/11

7日、立憲民主党と国民民主党の議員らが「ローカルフード法案」(正式名称:地域在来品種等の種苗の保存及び利用等の促進に関する法律案)を参院事務総長に提出した。

同法案について、立憲民主党は「(1)地域の気候や文化に合った多様な種苗の保全(2)種採り農家や地域の生産者の保護(3)学校給食を通じた地産地消――を行うことによって、農業の持続的かつ健全な発展と農村等の活性化や、食料の安定供給の確保と国民の豊かな食生活の実現を図るもの」と説明している。

法案作成に取り組んできた「ローカルフード法・条例推進チーム」は、国内で農家の数が減少している現状や、戦争や自然災害、感染症の蔓延によって農産物や化学肥料などが輸入できなくなる危険性を鑑み、「グローバルな生産に頼らずに、地域で食を回していく政策を作り、ローカルな食のシステムに置き換えていく道」を目指す。

また同チームは、国や地方自治体が学校給食などのために有機農産物を買い上げる公共調達政策の実現も掲げている。遺伝子組換え食品などの危険な要素をできるだけ減らした、昔ながらの安全な食の確保が狙いだ。

発議者の川田龍平・参議院議員は7日にブログを更新。今の日本の農業に求められる「食を通じて人と自然が共に調和する地域循環型食システムの構築」を同法案によって実現したいとの意気込みを綴った。

「『タネは生きた文化財』と言われるように、何百年にもわたって食物だけでなく、その時代を反映した歴史、文化を継承して現在もそのタネが食文化を育んでいます。(中略)本法案の大きなポイントは、このような在来品種を使った有機農法でできた食材を学校給食にも普及させることも明記している点です」

川田議員の妻でジャーナリストの堤未果氏も、専門家らと共に法案作成に取り組んできた。法案提出を受け堤氏は、「タネの死守はどの国でも食の安全保障の基」とX上に投稿し、その意義を強調した。堤氏はかねてより、人の生活や文化の基盤となる「食」が、米国の巨大資本によって工業化され、金儲けの道具にされてきた問題に警鐘を鳴らしてきた。

ローカルフード法案は本国会での審議入りと成立を目指すと同時に、それと連携した地方レベルでの条例成立や政府への意見書提出の呼びかけも進んでいる。

大紀元報道記者。東京を拠点に活動。
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