中国メディア「南方報道」(22日付)が報じたところによると、中国南部を襲った洪水により深刻な被害が出ている広東省梅州市で、あるトラック運転手が土石流によって車ごとひっくり返り土砂によって生き埋めになったのだが、27時間後に救出された。
今月16日朝、梅州市でアヒルの雛の孵化場を経営する曽忠華さんは、トラックにアヒルの雛を積んで配送に出かけた。しかし午後になり、曽さんは帰り道で豪雨に遭い、土砂崩れの形跡を見つけた。危険を感じた曽さんは山から離れようとしていたが、午後3時ごろ、斜面から勢いよく流れてきた土石流に飲み込まれた。
「あの時、車ごと、自分の身体は何回もひっくり返った。鼻も土砂によって塞がれ、呼吸することがとても大変だった」と曽さんは振り返っている。
生き埋めにはなったが、幸いにも車の片側の窓はわずかだが、空いていたという。しかし、体は車内に入った土砂で身動きができず、「助けて」と叫ぶしかなかった。
しかし、辺りは誰もいない。だんだんと日は落ち、雨は降り続いていた。曽さんは「間違いなく死ぬだろうな」と死を覚悟していたという。しかし24時間後に転機が訪れた。
転落から丸1日が経とうとした17日午後2時頃、曽さんが生き埋めになった付近を、村人数人が通りかかった。
あきらめかけていたものの、曽さんは生への望みを捨てておらず、残された最後の力を振り絞って「助けてくれ! 早く助けてくれ!」と叫んだ。
どこからかかすかに聞こえてくる彼の声に気づいた村民たちは、声のする元をたどった。すると土石流で道路脇に盛り上がっていた土砂の中にトラックが埋もれているのを発見した。
曽さんを発見した村民はさらに多くの村民を呼び寄せ、救助を試みた。村民たちは手持ちのナタやクワなどを使って土砂の山を掘り、なかには素手で土を掘り起こす村民もいた。村民たちはまず、酸欠になりそうな曽さんのために、呼吸するためのルートを作り、時間稼ぎをした。
最終的に村民たちは力を合わせて車のドアを破壊して曽さんを救出した。
現地の村役人によると、「あの時、現場は大混乱だった。車は完全にひっくり返っており、車体のほとんどが(土砂に)埋もれていた」という。
救助に3時間以上かかったが、生き埋めになった曽さんはようやく救出され、一命を取り止めたのだ。
救出された直後、曽さんは痛みや体温低下などで絶えず震えていたが、その後病院に搬送された。骨折などのあちこちケガを負っていたが、いまは順調に回復に向かっているという。
「助けてくれて本当にありがとうございます!」
曽さんは救助してくれた村民たちに対して心から感謝をしている。
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