先月20日、中国江西省九江市にある中学校の校内で男子生徒・黎金安くん(14歳)が死亡する事件が起きた。
この事件について学校側は「転落死」と主張し、転落時の様子については「監視カメラの死角だった」としているが、どういうわけか真相究明を求める遺族は当局によって逮捕されている。
今月8日、謎の「転落死」を遂げた黎金安くんの母親とされる女性は中国SNSを通じて「自分と夫は無事自宅に着いた」ことを報告した。
前日(7日)、黎くんが通っていた学校は大勢の警察官を呼びつけて、遺族を弾圧し、引きずり出す形で黎くんの両親を連れ去った。
黎くんの両親は「20時間以上」行方不明になったが、世論の圧力で解放されたという。
翌日、カメラの前で母親は「世論の注目と支持について感謝の意を表し、息子のために、真相究明をあきらめない」と誓った。
これに先立ち、母親は身分証明証を手に頭を地につけて拝み、世論の助けを求める動画をSNSに投稿しており、世論の注目を得ていた。
(謎の「転落死」を遂げた黎金安くんの母親が投稿した動画など)
「息子は正式な試験を経て私立の寄宿学校『江西省九江市共青城博雅私立学校』に入学した」
「6月20日午後1時59分、『息子が学校のビルから飛び降りた』という電話を担任の先生から受けた。我々家族は監視カメラの映像を見せてほしいと学校側に求めたが、学校内に入れてもらえなかった。30分待たされた後、『(息子が)落下した場所は監視カメラの死角だった』と伝えられた」
動画の中には、遺体が運び去られるシーンや、「息子に会わせて!」と母親の悲痛な叫び声が収録されており、見る人の胸を締め付けた。
母親によると、教師が息子を発見した後、真っ先にしたことは息子の救助ではなく、教室や寮へ行き、息子の遺品の物色だったという。「息子の遺品の中から教師が何を発見したのか、今でもわかりません」と母親はいう。
(謎の「転落死」を遂げた黎金安くんの母親による自撮り動画など)
この事件をめぐり、中国の元弁護士の彭永峰氏は、「近年、正義を求めてSNSを通じて世論に訴える中国人が増えている。これは、中国の民衆は普遍的に中国共産党(中共)の司法制度や弁護士団体、中共の官製メディアや記者に対する不信感の表れでもある」と指摘している。
「学校内での謎の死亡」事件は近年中国で絶えず、今回の事件も含め、ネット上では「なぜ事件が起きるたび、決まって監視カメラが壊れているのか、もともと監視カメラは何も撮さないという筋書きなのか」「最近こういう事件が本当に多い! なんとかならないのか!」といった怒りと嘆きの声が殺到した。
なかには「第2の胡鑫宇事件では?」と学校側の説明を疑う声も根強い。
胡鑫宇くん変死事件
「胡鑫宇(こきんう)事件」とは、江西省鉛山県で2022年10月に学校から失踪した15歳の高校生・胡鑫宇くんが翌年1月に学校近くの森の中で変死体となって発見された事件である。
地元警察は、本人の意思による「首吊り自殺」と断定し、記者会見まで行った。
しかしネットでは遺体発見時の状況証拠などに矛盾点が多いことから、犯人が地元警察を巻き込んで胡鑫宇くんの臓器を収奪しようとした疑いが濃厚であるとみられている。
ネット上では事件関連情報は検閲され、遺族は当局による鎮圧に遭い、声を上げられないでいる。
「胡鑫宇事件」以来、学校内で「謎の死」を遂げる生徒が現れるたび、「第二の胡鑫宇か」という声が必ず上がる。
いまや、「胡鑫宇」の名は華人にとっての拭い去ることのできない重くて悲しいワードになっている。
「自殺した」ということになっているが、現在の中共政権のもとでは、多くのことが隠蔽され真実を知ろうとしても知ることができず、多くの事が闇から闇へ葬られ、「なかった事」になっている。
「胡鑫宇」は、「学校での謎の死」「臓器収奪」「臓器狩り」「臓器移植」「変死体」「希有血液型(希少な血液型)」など、この暗黒の時代を代表する代名詞となり、現代中国を生きる搾取される庶民の子供の象徴になっている。
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