中国 オリンピックよりも食品の安全を

中国、ドーピングの影に揺れる選手団 ネット民は五輪よりも食品安全に注目

2024/07/17 更新: 2024/07/18

 

2024年のパリオリンピックが目前に迫り、中国スポーツ代表団が北京で結成された。中共の国営通信社、新華社の報道によると、代表団の総人数は700人以上で、そのうち405人が選手である。中国政府は卓球や飛び込み競技で全ての金メダルを獲得することを期待している。しかし、特に水泳競技におけるドーピング問題の影が中国チームに重くのしかかっている。この状況下で、ネット民の関心は金メダルよりも食品安全問題に移っている。

中国版ツイッター・微博(ウェイボー)では、中国選手を応援する声がある一方で、代表団の規模や費用に対する疑問の声が多い。特に最近発覚した食用油問題が国民の怒りを引き起こしている。このほど、灯油を運んだタンクローリーを洗浄せずに、食用油の輸送に使われた事件が暴露され、中共への不信感が増幅されている。

そのため、食品の安全を確保するために自家製食用油を作る人が増えている。一部のネット民はオリンピック代表団に関して、「今豚の油を作っているから、邪魔しないで」「私たちの同意なしに私たちのお金を使って楽しんでいるのに、拍手しろと言うのか?」とコメントしている。

江西省のネット民宋霞(そうか)は、今週火曜日にラジオ・フリー・アジアのインタビューで、多くの人が、就職や食品の安全問題に悩んでおり、オリンピック選手の成績に関心がないと述べた。

「現在、みんなこの経済環境下で政府が市民の納税を無駄に使っていると感じている。以前は中国人は面子を重視し、国際試合での選手の活躍が誇りになっていたが、今は政府が実際の民生問題を解決することを望んでいる」

新華社が中国選手の状況を紹介し始めても、微博のホットトピックトップ50には、オリンピック中国スポーツ代表団に関する情報が見当たらない。

ラジオ・フリー・アジアの報道によれば、時事評論家郭閩(かくびん)氏は「市民が安心して暮らせるようになって初めて、そういった『高尚な』事柄に関心を持つようになる。今、国家が後退している中、市民の生活はますます厳しくなっている。そんな中で誰がこれらの事に関心を持つのか?」と指摘している。

中国の国家主導のスポーツシステムは多額の費用がかかるため、一部のネット民から批判の声が上がっている。あるネット民、は「700人のスポーツ代表団にはどれだけの費用がかかるのか? 納税者のお金を無駄にしている」と投稿している。「金メダルは普通の市民には関係ない。多くのお金を費やすよりも、民生を改善すべきだ」と。

また、中国の水泳チームにおけるドーピングスキャンダルは依然として問題視されている。2020年末から2021年初頭にかけて、23人の中国水泳選手が国内競技でのドーピング検査に陽性反応を示したが、依然として競技参加を許可された。

中国当局は、選手が宿泊していたホテルの食品が、汚染されていたためと説明している。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は当時、中国当局の説明を受け入れ、中国チームの東京オリンピック参加を許可したが、今年4月にこの事件が暴露され、批判と疑問を呼び起こした。

これらの選手の中には、東京オリンピックで女子200mバタフライと4x200m自由形リレーで金メダルを獲得した張雨霏(ちょううひ)や、男子200m個人メドレーで優勝した汪順(おうじゅん)が含まれている。

米国連邦政府はこのドーピング事件について刑事調査を開始している。報道によれば、これら23人の陽性反応を示した選手のうち11人がパリオリンピックに参加し、その中には再びメダル獲得の有力候補も含まれている。

 

徐天睿
エポックタイムズ記者。日米中関係 、アジア情勢、中国政治に詳しい。大学では国際教養を専攻。中国古典文化と旅行が好き。世界の真実の姿を伝えます!
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