[東京 23日 ロイター] – 林芳正官房長官は、11月の米大統領選で誰が勝利しても同盟国として台湾海峡の安定維持に向けた関与を米国に働きかけていく考えを示した。共和党の大統領候補に指名されたトランプ氏は台湾防衛への態度を明確にしていないが、林氏は「(台湾海峡の)平和と安定というのはわが国の安全保障はもとより国際社会にとっても重要」と述べた。
ロイターのインタビューで語った。米国との間で「両岸関係の平和的解決」という「共通理解を堅固なものにしていく、堅固なものを引き続き堅固なものにしていく、これが大事なこと」と述べた。トランプ氏は最近のインタビューで台湾が中国から攻撃された際に防衛するかどうか明言を避け、「台湾は防衛費を払うべき」などと主張していた。
林氏は、日米同盟がインド太平洋地域の安定に重要な役割を果たしてきたとした上で、「この関係はどちらの党がホワイトハウスに行っても党派を超えて共通の認識」とも強調した。
また、輸入品に高い関税を課すことを表明するなどトランプ氏が厳しい姿勢で臨もうとしている中国との付き合い方については、「戦略的互恵関係」を追求するとした。「安全保障に関わるリスクを取り除きながら、自由貿易を守っていく」と語った。「日中外相会談も調整中だと理解している」と現状を説明した上で、日中の首脳間の往来を目指すべきとの考えを示した。
日本経済に関しては、日銀が早ければ7月末の金融政策決定会合で利上げに踏み切るとの観測が出ていることについて「マーケットとも対話していただきながらやっていただく、このことに尽きる」と語った。一方で、中小企業に消費と賃金の好循環が波及するよう目配りが必要だと述べ、中小企業が付加価値を高める取り組みを政府として後押しするとした。
過度な円安が物価高を招く可能性が指摘される中、林氏は秋以降、消費を下支えするための「何らかの経済対策というのは視野に入っている」と発言。規模などは経済指標を見極めながら考える必要があるとした。デフレからの脱却と持続的な経済成長の実現を目指して政府・日銀が2013年に表明した共同声明(アコード)については、「今ただちに見直さなければいけないかというと、そういうことではないだろう」と語った。
このほか、9月に控える自民党総裁選に自身が立候補する可能性について「わたしは今、岸田(文雄)政権の官房長官。まさに総理の間近でお支えする仕事だ。総理が総裁選に臨まれるということであれば、それをしっかり支えるということだ」と語った。岸田首相は出馬するかどうか現時点で明言してない。
*インタビューは19日に実施しました。
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