台北で30日、「対中政策に関する列国議会連盟(IPAC)」の第4回年次総会が開幕する。23か国および欧州議会から過去最多となる49人の国会議員が参加し、台湾の平和と安定をメインテーマに議論を交わす。日本からは自民、立憲、維新、国民から9人の議員が参加する。
IPACは2020年に設立された超党派の国際的な議員連盟で、中国共産党が民主主義国家にもたらす課題に焦点を当てる。日米欧の主要国ほか40か国あまりの議員が所属する。
総会では頼清徳総統が演説を行い、蕭美琴副総統も出席する。また、IPAC議員団は台湾の立法委員との会談や、ハイテク企業の視察なども行う。
日本からは、中谷元団長をはじめとする9人の現職国会議員が参加する。日本維新の会の政調会長を務める音喜多駿衆議院議員は自身のX(旧ツイッター)で、「昨年は日本の国会議員は私1人でしたが、今回は中谷元団長を筆頭に現職9名の議員団!」とコメントしている。
また、菅野志桜里元衆議院議員も、「IPACは欧米による反中団体ではありません。自由、人権、法の支配が、洋の東西を問わず普遍的な価値であることを体現する組織です」と発信し、今回の総会の意義を強調した。
中国共産党がIPAC参加阻む 台湾外交部「卑劣な妨害」
いっぽう、今回の台湾総会開催に対して中国側は強い反発を示している。米AP通信によると、中国外交官が少なくとも6か国の議員に対し、台湾訪問を思いとどまるよう圧力をかけていたことが明らかになった。具体的には、ボリビア、コロンビア、スロバキア、北マケドニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、そしてアジアのある国(国名非公表)の議員らが、中国側から短信やメール、緊急の面会要請などを受けたという。
例えば、北マケドニアのアントニオ・ミロショスキ議員は、「私は中国大使館の呉です」で始まる短信を受け取り、IPACの会議に参加するかどうかを尋ねられたという。
ボスニア・ヘルツェゴビナのサネラ・クラリ議員は、より脅迫的なアプローチを受けたと証言している。中国の外交官が彼女の所属政党幹部に直接メッセージを送り、台湾への渡航を阻止するよう要請したという。
こうした中国側の行動について、IPACのルーク・デ・プルフォード執行理事は「これは深刻な外国干渉だ」と批判。「彼ら(中国共産党当局)が、外国の議員の外遊に干渉できると考えるのは、まったくもって馬鹿げている」と強く非難した。
台湾側も中国の圧力に対して強く反発している。台湾外交部は声明を発表し、中国の「卑劣な行為」を強く非難するとともに、IPACメンバーの「民主主義と台湾への揺るぎない支持」に感謝の意を表明した。
民主進歩党の立法委員で、今回の台北代表団団長を務める王定宇氏は、「中国は他国の民主主義と自由、そして正常な交流を脅かし、破壊しようとしている」と指摘。「台湾は25か国の国会議員の友人たちが台湾に来てくれたことに感謝している。外交委員会の委員長として、我々は主催者としての責任を果たし、彼らに台湾の美しさと活力に満ちた側面を見てもらいたい」と述べた。
総会は、台湾海峡の平和と安定をメインテーマに掲げている。中国共産党による台湾周辺での軍事活動の活発化や、台湾に対する外交的圧力の強化など、緊張が高まっている状況を踏まえての議題設定だ。
IPACはこれまでも中国からの圧力に直面してきた。一部のメンバーは北京当局から制裁を受けており、2021年には中国政府の支援を受けたハッカーによる攻撃を受けたとされる。
しかし、こうした圧力にもかかわらず、今回の台北総会には過去最多の参加者が集まった。台湾の民主進歩党の范雲立法委員(国会議員に相当)は、「IPACは急速に成長し、各国の政府や議会に中国に対する警戒心と台湾への支持を促進することに成功している」と評価。
「圧力にもかかわらず、これほど多くの代表的な国会議員が台湾に来てくれた。彼らが台湾の重要な友人であり、台湾の自由と民主主義を守る重要な同盟国になろうとしていることを意味している」と述べた。
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