社会問題 上訴の道を断たれた男の「復讐」

中国で、「趙子龍」を指名手配

2024/09/03 更新: 2024/09/04

「来将可留姓名」(そこにいる者名前を教えてくれないか)

 

「吾乃常山趙子龍」(我が名は常山(地名)趙子龍なり!)

これは「三国志」のなかの名ゼリフである。

劉備を主として仕えた武将「趙 雲(またの名を趙子龍)」は忠義に厚く勇猛な人物として、日本でも知られている。

中国河南省周口市鄲城県の警察は28日、「趙子龍」という名の男を指名手配にし、懸賞金に10万元(約200万円)をかけた。

指名手配犯の名前が誰もが知る「三国志の武将・趙 雲(趙子龍)」と同じであるため、関連ニュースはたちまち話題になった。

警察の通知には「趙子龍」が犯行に及んだ動機については言及されていない。巷でいわれているのは隣人と土地をめぐるトラブルを抱えていた「趙子龍」が上訴する道を断たれ、正義や司法を頼れなくなった結果、自らの手で復讐(隣人を殺害)をしたことになっている。

中国で裁判所が下した判決文を公開するオンライン・データベース「中国裁判文書網」が掲載した2018年の案件のなかには「趙子龍と同村の村民との間の土地トラブル」に関するものがあった。

それによると、趙子龍の隣人は趙子龍の自宅すぐそばの道で作物を植えたり、井戸を掘ったりして、趙は家を出入りする際の通行が困難になったばかりでなく、自宅にも地盤沈下の現象が起きた。

趙子龍は隣人のしたことが自分の生活に多大な損失をもたらしたと考え、この件について村委員会に何度も訴えたが、解決されなかった。その後、趙子龍は訴訟を起こすも、案件は裁判所によって却下されたのだ。

「動機は何であれ、殺人は良くない」

とする声もネットで上がるいっぽうで、「村委員会や裁判所が少しでも役に立っていたらこんな結果にはならなかっただろうに」

「問題を解決できる望みは薄く、上訴する道まで完全に断たれたからこそ、自分の手で正義をもたらすしかなかった」

といった中国における社会不公に対する憤慨、そして趙子龍に対する同情の声も多く寄せられている。

 

形骸化された中国の「民衆陳情制度」。画像は四川省の陳情局内で、自身が受けた不公正を訴える陳情民が、地方から派遣された要員に暴行されるところ。2023年12月9日、四川省成都市(SNS投稿より)

 

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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