8月25日、中国甘粛省広河県の中学校で起きた凄惨な「集団リンチ」を映した複数の映像がSNSに投稿されて、中国世論が沸騰した。
動画のなかには、複数の学生によって平手打ちされ、口汚く罵られる制服姿の女子中学生3人の姿があった。うち1人の被害生徒はこの集団リンチによって負傷し血を流していた。
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怒涛の世論の圧力のもと、現地公安局と教育当局は8月26日、リンチ事件の発生を認め、被害者3人はいずれも「身体的な異常はなかった」と通報した。事件が起きた中学校(広河県城東中学)の校長は免職となった。
いっぽう、ネット上では当局のいう「身体的な異常はなかった」の主張に反発が起きている。
「精神的な異常については言及しないのか?」
「身体的な異常(ケガ)はたいてい治るが、心理的な異常は治すのに一生かかるぞ」
「加害者への処罰はどうなったのか?」
「学校での集団リンチは単に学校内の問題ではない」
中国の学校でのいじめ問題は深刻化しており、「集団リンチ」の動画は頻繁にネットに投稿されている。なかには被害者が死亡するケースもある。
この事態について、オーストラリア在住の歴史学者、李元華氏はエポックタイムズに対し、「学校での集団リンチは単に学校内の問題ではない、これは社会的に混乱した局面の反映でもある」と指摘した。
「中国の学校における各種の混乱の根源は中国の伝統文化と道徳、特に師徳の破壊にある。中国の伝統文化は、教育は道徳に基づいて行うよう諭してきた。しかし、中国共産党が政権奪取した後、教育を洗脳のツールとし、伝統文化を破壊してきた。その結果、教師は師徳を守らず教え子に性的暴行を加え、学生同士のいじめも横行した。学校での集団リンチは単に学校内の問題ではない、これは社会的な混乱の反映でもある」
「多くのいじめっ子の家庭は権力者や金持ちだ。子供たちが社会で目にしてきたものは弱者いじめなどの弱肉強食でしかないから、その子も学校内で強者になろうとする。弱い者いじめをすることによって、自分を持ち上げようとする。このような間違った考えを持つ青少年は本当に多い」と李元華氏は分析した。
被害者は弾圧される
中国で生徒が学校内で原因不明の突然死を遂げる「事件」が起きるたび、大抵は当局によって「自殺」と断定され、「正義や説明を求める」遺族は警察によって口封じされ、弾圧される事態が常態化している。
今年5月、山西省の小学校2年生の張昊くんが学校の昼休み時間に異常な死を遂げた。
「子供の遺体の首には絞められたような痕があった。しかし、現地公安は死因の究明を求める私を殴った」と母親は遺体の画像を添えてSNSに訴え、世論の助けを求めた。しかし、母親による投稿は後に検閲に遭い、中国のネット上から完全に削除された。
ネット上では、「愛する家族を失った後、法執行機関から殴られ、弾圧される。このパターンはここ10年で起きた類似事件のほぼお決まりのシナリオとなっている」などと糾弾する声が多く上がっている。
近年、中国の学校で起きている生徒の死亡事件の原因は主に「自殺」のほか、「生徒や教師によるいじめ」なかには「臓器狩りを疑われる」ケースも少なくない。
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