中国で今、「いじめ対策ボディーガード」と呼ばれる民間サービスが注目を集めている。
学校で子どもがいじめを受けた際、保護者に代わって専門チームが介入し、相手側と直接交渉する仕組みだ。ネット上では「警察よりもはるかに役に立つ」と評価する声が相次いでいる。
きっかけとなったのは、中国の動画投稿アプリ抖音(中国版TikTok)に投稿された実例だ。
あるケースでは、両親が出稼ぎで家を空けており、いじめ被害にあった子どもを守るため、民間のボディーガードチームに依頼した。チームは、いじめを行った側の保護者が姿を見せない中でも、関係者の自宅を一軒ずつ訪ね、話し合いを要求。最終的に再発防止の誓約書に署名させ、一定期間は被害児童の登下校にも同行したという。
別のチームも、母子家庭からの依頼で、毎日子どもの登下校に付き添い、いじめ側に強い心理的圧力をかけた。結果として相手側は非を認め、同様の誓約書を提出し、問題は収束したとされる。
こうした動画が拡散すると、中国のネット上では称賛の声が一気に広がった。
「学校も警察も動かない現実で、ようやく弱い側を守る手段が出てきた」
「これは民間の交番だ」
「全国で展開してほしい」
といった声が相次いだ。
背景にあるのは、中国の学校現場で深刻化するいじめ問題と、それに対して学校や警察が「責任を取りたがらない」構造だ。
保護者が学校に訴えても内部処理で終わり、警察に相談しても、「学校内で起きたいじめは教育の問題であり、警察が扱う事件ではない」と説明され、対応を学校側に戻されるケースが少なくない。
その結果、親たちは合法と違法の境界にある第三者サービスに頼らざるを得なくなっている。「法律が弱者を守らないなら、民間が代わりに動くしかない」という諦めにも似た空気が、こうした動きを後押ししている。
この民間サービスが今後も容認されるのか、それとも当局によって封じ込められるのか。
注目すべきは、これが単なるビジネスの枠を超え、制度の不備を補完する「最後の砦」として機能し始めている点だ。いじめ対策の主権が学校から民間に移り変わろうとする中、中国当局の今後の動向に注目が集まっている。
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