文部科学省の調査で、2024年度に全国の小・中・高等学校および特別支援学校で把握されたいじめが76万9022件に上り、前年度より約3万6400件増加して4年連続で過去最多を更新したことが分かった。
学校種別では、小学校が61万612件、中学校が13万5865件、高校が1万8891件、特別支援学校が3654件となっている。
文科省は、SNSなどを通じた「ネットいじめ」の増加や、学校現場での早期発見・報告の徹底が進んだことなどが、認知件数の増加につながったとみている。ネット上でのいじめは2万7300件余りで、前年度から約2600件増加した。
学校の対応と重大事態の増加
いじめが確認された際の学校の対応では、保護者への報告が61.2%で最も多く、被害を受けた児童生徒や保護者への謝罪指導が55.9%、校長や教頭による指導が4.2%などとなった。
いじめを原因とする自殺や長期欠席などの「重大事態」は、前年度から99件増の1405件で、過去最多となった。
このうち490件(約3割)は、当初学校側がいじめと認識しておらず、文科省は「初動対応に課題があった」としている。
不登校も過去最多
同調査によると、不登校の小中学生は約35万4千人で12年連続増加となり、過去最多を記録した。ただし、増加率は小・中学校全体で2.2%と、2023年度の15.9%から大幅に鈍化した。新たに不登校となった小中学生は約15万3800人で、9年ぶりの減少となった。高校では約6万7700人が不登校で、前年度から約1千人減少した。
文科省は「国や自治体、学校現場が連携して行ってきた支援策の成果が表れつつある」としている。
初動対応とネット対策を強化へ
文科省は、いじめの早期発見と重大事態の未然防止に向け、学校や教育委員会に再発防止策の徹底を求める方針だ。特にSNSを介したトラブル対応や、教職員による記録・報告体制の強化を今後の課題として挙げている。
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