中国経済 外資と中共の隔たり

中国での投資リスクが利益上回る EU商会が投資の臨界点に直面

2024/09/11 更新: 2024/09/13

中国で、ビジネス環境の改善が停滞している中、中国EU商会は、中国内投資リスクが利益を上回ると警告している。中国経済は依然として減速しており、中国共産党が約束していたビジネス環境の改善は、まだ全く実現されておらず、中国EU商会(中国における欧州連合商工会議所)は、多くの欧州企業が、中国での投資リスクが利益を上回っていると考えており、共産党当局の改善改革の約束を信じることが難しいと警告している。

9月11日、中国EU商会は最新の「EU企業の中国における提言書」を発表した。同商会は報告の中で、外資系企業が直面しているさまざまな問題が、中国市場における長期的な課題となっているといい、これは新興市場の「成長の痛み」ではないと述べた。

商会のヤン・エスケルンド会長は、報告書の発表前に記者に対し、「私たちは、確かに臨界点にいると感じている。何かをしたいのであれば、今がその時だ」と述べた。

「今、中国市場で利益を上げることは、ますます難しくなっている」

とエスケルンド会長は加えた。

報告書は、欧州企業が中国共産党に対して、経済の内需を刺激するための実行可能な計画が存在するかどうかに、疑念を抱いていることを指摘した。北京は外資系企業が直面する課題を、解決する意向を示しているが、実際には政策文書の大部分において、重要な措置は「進展が限られているか、全く進展していない」というこれまでの状況を示した。

さらに、報告書は中国共産党当局が、

「国家安全保障の要因に高度に関心を持っている」ことや、

「重要な経済分野での高度な自立を実現する」ことに焦点を当てていることが、開放的で競争的な市場原則に反していると指摘した。

中国経済の減速と外資系企業への影響

「国内需要が引き続き低迷しているため、複数の戦略産業で、過剰生産が発生しており、他の国は、ダンピングを恐れて、各国の自国産業を守るために、これに強く反対している。これは、商業信頼を回復するというますます困難な任務に逆行している」と報告書は述べている。

2024年上半期、中国における外国直接投資は前年同期比で29.1%減少した。EU商会は、約3分の2の会員企業が、中国での利益率が、世界平均と同等かそれ以下に低下しており、将来の利益に悲観的な企業の割合も歴史的な高水準に達していると報告した。

その報告書によれば、「外資系企業が中国市場に対する期待と参入戦略を調整し始めている兆候がある」とされており、EUおよび米国企業の中国への投資額は、10年前の半分程度に減少しており、小規模な多国籍企業や中小企業は、他の市場への投資を選ぶ傾向が強まっているという。

EU商会は、「他の市場が法律や政策の安定性、予見可能性、投資収益率において優位性を持つため、中国市場での既存の投資規模を維持することがますます難しくなっており、その合理性も疑問視されている」と述べた。

報告書によれば、企業が懸念している「核心問題」は、中国経済の成長鈍化であり、企業の信頼は他にも多くの要因によって影響を受けている。これには、長期的な市場参入の障害や規制、高度に政治化されたビジネス環境、内需の低迷、過剰生産、法律や規制の不透明性が含まれる。また、当局が国家安全保障を常に強調していることも影響しているという。

落胆させられた第2四半期を経て、中国共産党が家庭に対する新たな刺激策を講じ、内需の回復を促進すると主張している。

中国共産党政府の改革の約束:期待と現実のギャップ

しかし、EU商会は、中国共産党当局が「繰り返し行った改革の約束」を果たしていないため、多くの外資企業が「約束疲れ」を感じ、改革の実現を信じなくなっていると述べた。

報告によれば、2000年代には多くの外資企業が、中共の改革計画を信頼していたが、「10年以上にわたりほとんど実現されなかった約束の後、中共政府の改革に対する疑念が日増しに高まっている」という。

今年7月、中共は14億人の消費市場を活性化させることを約束し、「古いものを新しいものに交換する」消費財補助金計画を発表した。しかし、これまでの政策はほとんど効果がなく、経済学者たちは消費市場を活性化させる具体的な計画を、尚も、待ち望んでいるのだ。

EU商会は、「古いものを新しいものに交換する」計画が、国内消費を大幅に増加させる可能性は低いと考え、予算に割り当てられた金額は一人当たり約210元(約4184円)であり、「一般消費者に届くのはごく一部に過ぎない」と予想した。

報告書は、中共当局が法執行を改善しておらず、知的財産権の侵害の問題が、依然として存在していることも指摘している。

EU商会は警告している。

「企業の懸念に対処するために、より包括的な措置を講じなければ、過去数年に見られた消極的な傾向が、さらに続くか、あるいはさらには悪化する恐れがある」

報告書は、これが

「外資企業の中国での投資縮小や、サプライチェーンおよびビジネスのさらなる海外移転を引き起こし、外資企業の本社と中国の支社間の隔たりを深める可能性がある」

と指摘している。

陳霆
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