今月5日、陝西省咸陽市の公安は「重大な犯罪に関する刑事事件」の容疑者5人に対する懸賞金公告を発表し、物議を醸した。
公告によると、5人は29~37歳の男性で7月19日から逃亡している。通報者には1~3万元(約20~60万円)の報奨金が与えられ、通報者の身元情報は厳守すると告知されている。
しかし、肝心な動機や事件の詳細に関する説明は一切なかった。
この「49日遅れの指名手配」をめぐり、ネット上では憶測が飛び交っている。
「5人が何をしたというのか? なぜ逃走から49日経ってから指名手配するのか」
「状況説明をしないところからして、何か知られたくない内情があるのでは」
「警察はなぜこそこそしているのか? 何を隠しているのか?」
物議を醸しているこの「49日遅れの懸賞金」事件について、一部の公安関係者によるリークによれば「5人は咸陽市のある高官宅に強盗に入り、高官一家を殺害した。事件の公表が遅れたのは、高官一家を殺害したということを知った市民が、彼らを匿うことを懸念したからだ」という。
内幕
この件をめぐり、容疑者2人の知人だという方昊(仮名)さんは、事件の内情についてエポックタイムズ記者の取材に対して以下のように述べた。
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「(容疑者の)張志豪は友人の妻の弟で、張鵬飛は自分と同い年で隣村の出身だ。現在、この2人はすでに警察に出頭して自首している」
「事件の首謀者は張志豪で、地元でも有名なスパ施設の社長であり、非常に影響力を持つ富豪だ。指名手配されている他の4人は彼の下で働く従業員たちだ」
「事件のきっかけは張志豪の姉の夫である・于建邦の逮捕だ。于はかつて地元で大きな影響力を持っていた人物で、また「裏稼業」の業界においては有名人だった。地元の人民代表大会代表を務めたこともあり、全国に数十のチェーン店を展開する『養生クラブ(御指天驕養生会所)』の創設者でもある。于は自身の事業を全て張志豪とその部下に任せ、後に英国に移民し、海外で中国の官僚の為に資金洗浄などを行い、通信詐欺にも手を染めていた。しかし、少し前、中国に帰国した于は警察に捕まった」
「于を外に出すため、張志豪はコネに頼ってなんとかしようとしたが、上との交渉が決裂したのだろう。張志豪はその手下たちを連れて官僚の家に行った。そこで何が起きたのかは知らない。その官僚は副市長か、あるいは公安局長かもしれない。いずれにしても地位が高く、非常にデリケートな人物であるのは間違いない。そのため、当局は事件に関わる情報を全て封鎖した」
方昊さんは「当局は真相を明かすはずがない」と言った。
方昊さんによると真相を知った庶民は間違いなく、誰もが『よくやった!』と拍手喝采し、誰もが容疑者を匿うという。
中国で官僚殺しは「英雄」
「無官不貪」という中国語がある。邦訳すると、「中国には腐敗官僚しかいない」となる。この言葉は、中国人が日常的に使っているものであり、そして公認の事実である。
もちろん、なかには一部の民衆のために働き、清廉潔白な官僚もいる。その一方で腐敗に手を染めなければ出世などできない中国官界の現実もあり、官僚というと、特権を笠に着た腐敗悪人というイメージが完全に定着している。
現在の中国では官僚に対して、反感や恨みを抱く一般市民は多い。そうして、村役人や官僚が被害者になる事件が起きるとネット上で歓声が上がっている。
中国の歴代の王朝の末期もみな役人の汚職がはびこっており、中国共産党も同じ道をたどっている。狂った世の中だが、これが中国の現実なのである。
この現象について、中国関連の時事ニュースを報道するセルフメディア番組「新聞看点」の司会をする、時事評論家の李沐陽氏は次のようにコメントしている。
「役人たちもまた哀れなものです。民衆が限界に達し反撃に立ち上がる時、真っ先にターゲットにされるのはこの中国共産党の具体的な化身(体現者)である彼らなのです。そう考えると、この人たちもある意味で、中共体制下の犠牲者だと言えます」
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