生存環境が悪化の一途をたどる中国では、自殺を図る事件が絶えない。
なかでも、大型ショッピングモールや病院の吹抜け、川にかかっている橋などが恰好の「飛び降りスポット」となっている。この事態に対処するために、各地の一部の「自殺名所」と化したモールや橋には自殺防止用の「バリケード」や「網」、「監視員」が常駐するようになっている。
そんななか、北京市にある著名な病院の吹抜けに大きな網が張られている様子を映した動画が華人圏で拡散されて、物議を醸した。
「落下防止とか言ってるけど、実際には自殺防止用だ」「なるほど、その病院は確かに治療するお金がない市民が飛び降りるのに格好な場所だ」とするコメントが多く寄せられている。
というのは、その病院は共産党幹部や政府要人が治療や入院することでも有名な「解放軍総医院 (別称:301医院) 」だからだ。
(「解放軍総医院 (別称:301医院) 」内の吹き抜けに張られた「大きな網」)
共産党幹部が医療資源の8割を消耗
中国では、日本のような健全な医療保険制度がないため、一般庶民が重病になったら破産するケースも少なくない。たとえ医療保険に加入していたとしても、立て替られない項目が多く、全額の半分でも保険から立て替えが下りれば良いほうで、残りの治療費は一般家庭にとっては重圧になる。
また、中国の病院は「前払い制」で、お金を払えない場合、治療を諦め、患者を家に連れて帰るしかない。それでも、「これ以上お金はないが、愛する家族の治療をもあきらめたくない!」という市民は医師に土下座して、「お金を準備する時間をもう少しください」と懇願する。そんな悲しいシーンは中国全土の病院で毎日のように繰り返されており、「治療費がない」「治療費のことで家族を不幸にしたくない」という動機で自殺する病人が後を絶たない。
いっぽう、中共の特権階層や党幹部の医療待遇は一般庶民よりもはるかに優れており、なんと「タダ」で医療を受けられる。「党幹部が中国の医療資源の8割を消耗している」とも言われており、このあまりに不公平な現状をめぐっては、「中国の社会制度の欠落だ」と嘆く声が広がっている。
(中国の病院の「日常」 お金がない庶民の病院内の姿)
ショッピングモールでも
「吹き抜けに大きな網」といえば、近年では一部の「自殺名所」と化したショッピングモールで張られていることで話題になっている。
4月には広西省の病院で、十代の我が子のそばで末期がんの中年男性が、5階から飛び降りる痛ましい事件が起きた。
この件に詳しい市民によると、飛び降りた男性はこの日、12歳の息子を連れて病院へ自身の診察にやってきた。そこで自身が末期がんであることを知り、今後かかる膨大な医療費など、家族に迷惑をかけたくないと自ら命を絶ったという。
病院で「一家5人飛び降り」
先月27日、貴州省にある病院「遵義医学院」の吹抜けで、「治療費するお金がない」という一家5人が飛び降り自殺した。関連動画は中国国内では封殺されているという。
(左の動画は飛び降り現場の様子、右の画像は中共の特権階層が自由に使える医療資源のイメージ)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。