金の地金の密輸が拡大している。財務省の発表によれば2024年上半期に摘発された密輸件数は前年同期の1.8倍、押収量は8倍以上に急増し、今年1月から6月に全国の税関で摘発された金の地金密輸は228件、押収量は937キロに達した。
税関によると、日本での金の密輸は、消費税の差額利益が主な動機であり、消費税がかからない国で購入した金を密輸し、日本で売却することで利益を得るケースが増加しているという。
例えば、仮に金の相場が1キログラムあたり1千万円だった場合、消費税がかからない国で金を1千万円で購入し、それを密輸して日本国内で売却すると、10%の消費税が加算されて1100万円で売却される。この場合、消費税分の100万円が利益となる。通常は輸入時に消費税を支払う必要があるが、密輸によってそれを回避することで差額利益を得られる。
ロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の緊迫化により、最近、金価格が上昇していることも密輸の動機となり、税関は取り締まりを強化しているが、消費税の脱税目的の金地金密輸入の摘発は急増している。
税関は、多くの金密輸が組織的に行われ、また、手口も巧妙化し、密輸形態が多様化し、相当程度の利益が犯罪組織などに流れているおそれがあると指摘している。
密輸阻止のため、財務省は税関での検査強化や罰則強化を進め、取り締まりを強化している。
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