社会問題 止まらない「社会報復」

小学生含む市民を無差別切りつけ 「司法の不公平」を訴える容疑者=中国

2024/10/09 更新: 2024/10/09

【閲覧注意】本記事には、残虐な映像や画像があります。

ご注意ください。

広東省広州市で8日午後2時ごろ、路上で小学生を含む通行人が無差別に刃物で切りつけられる事件が起きた。

容疑者の趙(男、60歳)は逮捕されている。被害状況について、公式発表では「3人がケガを負った」ことになっているが、「実際にはもっと多い」というネット情報もある。

事件が起きた場所は広東省検察院と広州市検察院の入り口前で、そして近くには小学校もある。

情報筋からエポックタイムズに寄せられた情報によると、負傷者の中には小学生2人が含まれており、うち1人は腹部を刺されて大量出血している。

情報筋から提供された画像の布には、容疑者が手書きで以下のように記していた。

「(邦訳)ある事件に巻き込まれた、しかし裁判所は証拠も提示しないで休廷した。上層部は事件の対応をしてくれないし、自分は弁護士を雇うお金もない。子供たちよ、あなたたちは関係ないけれど、高級裁判所は『自分で処理して』と言っていたんだ、この布は子供たちのための喪服を作るための布だ」

 

「容疑者による手書き文字入りの布」(情報筋より提供)

中国で起きた突発事件を報道するインフルエンサー「羅翔(@LUOXIANGZY)」は自身のX(旧ツイッター)に、「容疑者はナイフを両手に持っていた、負傷者は10人以上、小学生3人はその場で死亡したのに当局は3人負傷と発表した」と伝えている。

関連動画をめぐり、ネット上ではいつもながら嘆きの声が広がっている。

「いまの社会は邪気があまりに充満している」

「無関係の人を巻き込むな、政府に立ち向かえ。ここを出て左へ曲がれば政府だ」

なおこのようなコメントは、中国で何か一般市民を巻き込んだ社会報復事件が起きるたび、関連のトピックスのコメント欄には必ずと言っていいほど、書き残される。

このセリフはもはや、ある意味、この混沌とした時代に生きる市民の心の内を示す最も正直な気持ち、そして「皮肉」にすらなっている。

事件を伝えた「羅翔(@LUOXIANGZY)」さんも、事件現場の映像とともに同様のセリフを書いている。

(現場の様子)

 

 中国共産党(中共)の統治下の中国では汚職が横行し、人民はとことん搾取される。司法に正義はなく、冤罪が絶えない。不公平な仕打ちを受けた庶民は訴える場所もなく、不満をため続けている。近年では中国経済の低迷と相まって、多くの人は生活が苦しく、社会への報復を狙った事件が後を絶たない。

先月30日夜、上海のスーパーマーケット「ウォルマート(松江区)」で「無差別通り魔事件」が発生し、18人(うち3人死亡)が死傷したと報じられた。ネット情報によれば、容疑者の男は2015年から給料がもらえず、生活が困窮し、ついに社会報復をするようになったとされる。

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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