中国の輸出12.7%増 トランプ氏返り咲きに中国ビジネス界が戦々恐々 

2024/11/08 更新: 2024/11/08

2024年アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した。7日、中国共産党(中共)の習近平は、トランプ氏と電話会談を行い、「米中関係の安定的な発展が両国の利益になる」と述べた。

選挙前からトランプ氏は中国製品に60%から100%の関税をかけるとの発言しており、中国のビジネスマンたちは主要市場への在庫輸出を加速させている。

共和党が上院の支配権を取り戻したことで、トランプ氏の政治的アジェンダは議会でより推進しやすくなる。トランプ氏は6日未明の勝利演説で、「約束を果たす」原則に基づいてアメリカの政治をすると述べた。

10月の中国の輸出額は2年ぶりの高水準を記録し、市場予想を大きく上回った。

ロイター通信は、中国最大の輸出市場であるアメリカで、中国製品が倉庫に大量に滞留する問題が発生する可能性があり、アメリカ市場の在庫圧力をさらに悪化させ、サプライチェーン管理に課題をもたらすと予測している。

中国税関総署が7日に発表したデータによると、10月の中国の輸出は12.7%増加し、3090億ドル(約47兆円)に達した。この成長率は9月の2.4%という成長率を大きく上回り、中国の金融サイトが予想した5.5%やロイター通信の経済学者が予測した5.2%も上回った。

しかし、中国の10月の輸入額は2.3%減少し、市場予想の1.5%減を下回り、4か月ぶりのマイナス成長となった。輸出の勢いは、低迷する中国経済の中で、この10月の輸出データだけが明るい点となっている。

先月、中国の対米輸出は前年同月比8.1%増加し、対欧州輸出は12.7%増加した。トランプ氏の関税戦略は中国の工場経営者や当局者に不安を与えており、これらの関税が年間約5千億ドル(約76兆円)の輸出額に影響を与えると推定されている。

EUと中国の貿易緊張も高まっている。EUは先月末、中国の電気自動車に5年間で17%から35.3%の相殺関税を課すことを決定した。一部の専門家は、EUの関税の影響はまだ始まったばかりだと考えており、ヨーロッパ諸国にとって電気自動車産業は極めて重要で、数少ない優位産業を守る必要があると指摘している。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、徐天辰氏は、中国の第4四半期前の大量の前倒し輸出注文について、「これは主にトランプ氏の当選に関連していると思う。この心配(関税)がますます現実味を帯びてきている」と述べている。

キャピタル・エコノミクスの中国経済学者、黄梓純氏はレポートで次のように述べた。

「中国の輸出は今後数か月間も引き続き堅調に推移する見込みだ。…トランプ氏による追加関税の影響については、中国の輸出に悪影響が出始めるのは来年後半になると予測されている」

中共外交部によると、トランプ氏に送った祝電の中で習近平は「歴史は、米中が協力することで双方とも利益を得る一方、争えば双方が傷つくと示してきた」と指摘した。そのうえで、「安定的な米中関係が、両国の利益に合致し、国際社会の期待に沿う」と説明した。

曾子衡
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