英中6年ぶりの首脳会談 中国の人権問題を批判

2024/11/19 更新: 2024/11/19

11月18日、イギリスのキア・スターマー首相は、ブラジル・リオデジャネイロで開催されたG20首脳会議で、中国共産党(中共)の習近平党首と会談を行った。スターマー氏は会談で、中共の人権問題を批判し、特に拘束されている香港の元メディア大手、黎智英氏や、中共による制裁を受けたイギリス議会議員について言及した。

今回の会談は、2018年以来初めて行われた英中両国の首脳会談。

スターマー氏は、英中間に「相互尊重に基づく関係」を構築することを目指していると表明。習近平に対して、イギリスは安定的で一貫した方針で行動し、他国の影響や支配を受けることなく、イギリスの利益と価値観に基づき独立して判断すると述べた。また、法の支配を堅持し、それを守る姿勢を明確にした。

また、中共当局によるイギリス議員への制裁や、台湾・香港問題を巡る両国の意見の相違、さらに中共の人権問題へのイギリスの懸念を取り上げた。また、黎智英氏が「収監中に健康状態が悪化している」との報道に対し、イギリスが「深刻な懸念」を抱いていることも伝えた。

特筆すべきは、この会談が中共側の厳重な管理下で行われた点である。スターマー首相が中共の人権問題について言及すると、同席していた中共の官僚が即座に立ち上がり、現場にいたイギリスの記者に退場を要求した。ブルームバーグTVの映像によれば、スターマー首相が発言している最中に、中共の官僚が記者を遮り、会場外に連れ出した様子が確認された。

香港民主派「47人裁判」、判決は迫る

香港の裁判所は、19日に「47人裁判」の判決を下す予定である。これは、香港における最大規模の「国家安全法」に基づく裁判であり、アメリカやイギリスは被告の即時釈放を求め、政治的動機による裁判だと非難している。

2020年7月、47人の民主派活動家や地域リーダーが立法会選挙に向けた民主派候補の選出を目的とした非公式な予備選挙に参加したことが問題視された。彼らは中共当局により「香港版国家安全法」違反で起訴され、そのうち45人が有罪判決を受けた。多くの被告は3年半以上拘束されており、最低3年から最高で終身刑の判決が下される可能性がある。

黎智英氏の裁判、再び注目

香港で最も人気のある新聞「アップルデイリー」の創業者であり壹伝媒の創始者でもある黎智英氏は、「外国勢力との共謀」など3つの国家安全法違反の罪で起訴されている。同氏の裁判は20日に再び審理される予定であり、現在までに1418日間拘束されている。

スターマー首相とイギリス外相のデイビッド・ラミー氏は、黎智英氏の釈放をイギリス政府の最優先課題としている。

また、2021年には保守党議員のティム・ロートン氏を含む7人のイギリス議会議員が、新疆ウイグル自治区での人権侵害を批判したことにより中共から制裁を受けた。

 

李皓月
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