「購入した不動産が建築途中で止まり再開のめどもたたない」「購入した不動産がいろいろな原因でいつまで経っても引き渡されない」
中国にはこうした被害を受ける市民がごまんといる。もちろん、金持ちも例外ではない。
今月18日、上海の超・高級団地「蘇河湾1号」の所有者たちは街中で権利擁護のための抗議デモを行った。
問題の団地は本来ならば6月末に引き渡しの予定だったという。しかし、引き渡しは何度も延期され、今では、いつ引き渡されるのかもわからない事態になっており「我々は集団で抗議をし、購入キャンセルを求めている」とデモ参加の同物件オーナーが明かしている。
(抗議デモの様子)
「蘇河湾1号」といえば、上海を代表する有名な観光スポット「外灘」から直通距離わずか約1.5キロ、蘇州河までの直通線はわずか約600メートルという、上海の「絶好の立地」に建つ超・高級団地として知られている。物件1つで最低でも2、3千万元(約4~6億円)はする。つまり、この購入団地の住民は全員、間違いなく億万長者だ。
しかし、相手が億万長者だろうが、中国で街に出てデモ進行をすることは「違法」だ。その結果、現場には大勢の公安が安定維持に駆け付け、複数のデモ参加者が鎮圧され、引きずられる形で連行・逮捕されている
(デモ参加者らが公安に鎮圧される様子)
「まさか上海で富豪たちがデモ行進するようなことが起こるとは……」とライブ配信するインフルエンサーも信じられない様子だった。
デモの様子はライブ配信され、関連動画は「億万長者100人がデモ行進」といったタイトルが付けられ、話題になった。
近年、中国経済の低迷と不動産会社の債務危機により、全国で未完成物件が急増し、それに伴い、そうした未完成物件の購入者による抗議事件が絶えない。抗議する市民のなかには庶民もいれば、今回のような高級団地の富豪もいる。
「上海の富豪によるデモ、そして逮捕は、社会的緊張の激化を示す新たな兆候だ」
「今後、デモ行進の列に加わる富豪はもっと増えるだろう、庶民層ばかりでなく富裕層までも中国共産党政権と対立する」この事態に、「政権崩壊の日はそう遠くない」と分析し、期待する声も多く上がっている。
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