時事 幼い子を道連れ、これはどれだけ絶望したらできることか?

【動画あり】中国で「幼い子を道連れにした自殺」多発

2024/12/02 更新: 2024/12/02

経済悪化の一途をたどる中国では、「親が、我が子を道連れにして自殺する事件」が多発している。

広東省

先月22日、広東省汕頭市の橋の欄干に座り込み、自殺をしようとする男性がいた。男の腕には(一番下の)幼い子が抱きかかえられていて、加えてそばにも幼い子がさらに2人いた。

最終的に、この父親は我が子を道連れにしないと決心し、子供たちを残して、自分だけ橋から飛び降りた。幸い、その後男は救助された。

市民が撮影した「3人の子を抱いて自殺しようとする父親」の動画は、華人圏のSNSで拡散され、嘆きの声が広がった。
 

(2024年11月22日、広東省汕頭市の橋の欄干に座り込み、自殺をしようとする男性)

 

四川省

8月にも四川省で幼い男児2人(4歳と生後2か月)を道連れに母親(39歳)が川へ飛び込み自殺した。

母親は決断がつかずためらっていたためか、飛び降りたダム周辺を4時間も徘徊していたことがわかり、苦しい決断をした母親の心中を知った多くのネットユーザーから、嘆きの声が寄せられていた。

飛び降りに気づいた周辺住民は救援を試みたが、3人とも溺死してしまった。

現地公安局によると、女性は地元民で2人目の出産を終えた後、婦人病を患っていたことがわかった。しかし、治療費用3万元(約60万円)がないため、治療できずにいたという。

 

江蘇省

昨年11月、江蘇省無錫市の橋から、母親が2人の子供を川に投げ込んだ後、自身も飛び込む事件が起きた。2人の子供のうち、男児は死亡。女児と母親は病院に搬送された。

昨年11月、江蘇省の揚州市の集合住宅でも、若い女性が、建物の12階から転落して死亡する事件が起きた。地元住民によると、この女性は布団で娘を包んで窒息死させた後、12階から飛び降りたという。

安徽省

昨年9月、安徽省合肥市でも、生後3か月の娘を抱いたまま川に飛び込んだ母親(29歳)がいた。自殺の動機は夫からの家庭内暴力と、経済的な面を含む夫婦間のトラブルとされる。

河南省

昨年6月、河南省南陽市で26歳の母親が、2人の幼い子供を道連れに橋から川へ飛び込み自殺した。幸いにも子供たちは救助されたが、母親は死亡した。

福建省

昨年12月、福建省南平市の橋から父親が川へ飛び込んだ。父親は、はじめは幼い子(5歳の娘)を道連れにしようとしていたようだったが、最後の瞬間になって、子供を脇へ置き、自分だけ飛び込んだ。父親は飛び降りる前、救急隊員に対して「疲れたんだ。もう生きていくことができない」と言い残していったという。その後、男性は幸いにも救助された。

 

父親が子供を置いて川に飛び込み自殺を図った事件、2023年12月11日、福建省南平市の橋で(動画よりスクリーンショット)

 

四川省

昨年12月、四川省成都市の橋の欄干の上に立つ若い女性がいた。その足元には、手を伸ばし、泣きながら「マーマ(媽媽)」と叫ぶ幼い子の姿があった。

そばにいた男性が、この女性に対し説得をする「あなたの子供は、まだ小さいでしょう。そんな衝動的なことは、してはいけないよ」

しかし女性は、泣きながら「この子と一緒に逝きたい」と答えていた。

結局、この若い母親は子供を道連れにはしなかった。彼女は、自分が川に飛び込む姿を子供に見せたくなかったようだ。子供がくるりと体をよそへ向けた瞬間、川の中へ飛び込んだ。幸い、彼女は後に救助隊に助けられたという。中国メディアによると、この時、橋に残された子供は、まだ1歳半だった。

 

母親が、飛び込み自殺を図った事件、2023年12月14日、四川省成都市の橋で (動画よりスクリーンショット)

 

その子の人生にまで絶望しているから道連れにするのか?

幼い子を道連れに自殺する親のニュースをめぐっては、「死にたけりゃ自分だけ死ねばいい、子供を道連れにするのは自己中だ」と非難する声も上がっているが、なかには「我が子を連れて死にたい親はいない、自分がこの世にいなくなった後、その子の人生を思い絶望しているから道連れにしたんだ。我が子を、この地獄のような世界に残して逝けないと苦しい決心をしたこともまた、一種の親の愛だ」と考える人もいる。

それでも幼い子を連れて自殺する内容の関連動画がSNSに拡散されるたび、そのシーンを目にしたネットユーザーからは「胸が張り裂けそうだ」「中国共産党(中共)が統治する中国では、こうした悲劇が絶えない。中国人は本当に大変だ。もう絶対に、中国になんか生まれ変わるものか」といった怒りの声が相次いで寄せらている。

 

「毒の根源」の崩壊まで、生き延びて

福建省の父親が子供を置いて川に飛び込み、自殺(未遂)を図った件について、時事評論家の李沐陽氏は次のように語った。

「全く胸が張り裂けそうな光景だ。皆、この父親の身に何が起こったのかを知りたがっているが、彼は言ったではないか。生きるのに疲れた、と」

「彼は、川に飛び込む前、胸に抱いていた我が子をそっと下におろした。その素振りからしても、この父親は愛がある人だとわかる。大切な我が子がいて、心に愛がある男に死を選ばせるほどの困難とは何なのか。死を選ぶには、どれほど大きな勇気と決断が必要なことか」

「しかし、彼にとっては、死ぬ事よりも生きる事の方が難しい。そして生活を続ける能力もないから、死を決断してしまったのだろう」

「実際、この父親は、今の中国の庶民の現状を映し出している。現在、中国の経済状況は全体的に非常に悪く、大量の工場が潰れた。職を失った出稼ぎ労働者たちは、故郷に帰って農業をしようにも、土地は地元の役人によって売られている。働く先も、土地もない人たちは、どうやって今日や明日を生きていくのか。希望はない」

 

(父親が子供を置いて川に飛び込み自殺を図った事件、2023年12月11日、福建省南平市)

 

「幸いにも、動画の父親は救助された。彼にはまだ、自分に現在の状況をもたらした原因が何であるかを考えるチャンスがある。なぜ中国は、今日のようになってしまったのか。実際、中国の社会問題は全て、中共が根本的原因だ」

「中共の体制が、毒の根源なのだ。この邪悪な体制を取り除かなければ、中国の人民は決して良い暮らしは手に入らず、苦しみは終わらないだろう。あの父親には(子供とともに)中共が崩壊する日まで、粘り強く生きてほしいと願っている」

「悪の根源」である中共から完全に離脱し、その中共が崩壊する近未来まで、何が何でも生き延びること。それが最も大切であると、李沐陽氏は述べた。

自殺に追い込まれる悲劇は、まるで見えない声で、呼び合うように続けて起きる。それは、今の中国全体が、生存の限界に達しているからである。しかし、そうであるからこそ、中共の鎖を断って、とにかく生き延びることが肝要だ。

 

李沐陽氏(本人より提供)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
関連特集: 時事