トランプ氏が再びアメリカ大統領に就任し、アメリカ国内外の政治に多大な影響を与えている。この記事では、トランプ政権の国内政策、経済政策、国際関係の変化を深堀りし、アメリカおよび世界の今後について分析しよう。特に国境問題、税政策、ロシア・ウクライナ戦争といった緊急の課題に焦点を当て、トランプ政権が、これらの問題にどのように対処するかを掘り下げてゆく。
トランプ政権10日間 衝撃波が世界を震撼 政府の信用と約束を再構築
ニューヨークの経済コラムニスト巫本添(ふほんてん)氏は、新唐人の『菁英論壇』 番組で、トランプ大統領就任後の友人や地域社会、コミュニティとの会話では、トランプ氏の話題が絶えないと述べた。
巫本添氏は、トランプ氏就任後の十数日間で明らかな変化を感じると述べた。
「最も重要なのは、トランプ氏自身が言うように、彼の当選理由は、経済ではなく開放的な国境問題であったことだ。国境問題は、治安を引き起こし、治安は経済に影響する。これは連鎖反応だ。多くの人が、トランプ氏を公然と支持することを恥じるが、国境問題に関しては彼のアプローチが正しいと認める。これはアメリカ社会全体に大きな影響を与えた。皆が理解しているのは、彼が選挙中の約束を果たしているということだ」
次に、最も顕著なのは、ビジネスをしている人々がトランプ氏を必要としていることだ。なぜでだろうか? それは、トランプ氏が増税に反対し、税金を完全に撤廃しようとしているからだ。店舗を経営する人々にとって、これは非常に喜ばしいことだ。税金が最大の問題だからだ。基本的に、ビジネスをしている人々の中で、トランプ氏に反対する人はいないと思う。トランプ氏がいれば治安が改善され、お金を稼ぐ機会も増える。これはシンプルで、店舗経営者にとって有利だ。したがって、経済の回復において、トランプ氏には大きな功績がある。私の知っている人々のほとんどが、投資を増やすことに期待感を抱いている。そのため、皆がトランプ氏の経営理念に沿って進むのを望んでいると言う。
ベテランジャーナリストの郭君氏は『菁英論壇』で、現在アメリカ国内で最も重要で、関心が高く、影響力のある政策は、「不法移民の追放」だと述べている。先日、伝統的なメディアや主流メディアの記者が、ホワイトハウスの新しい報道官キャロライン・レビット(Karoline Claire Leavitt)氏に対して、「誰が犯罪を犯し、誰が犯していないかを、政府がどのように知るのか?」と質問した。レビット氏は力強く「アメリカに不法に入国したすべての人々は、実際に罪を犯しているのだ。なぜなら、アメリカへの入国には明確な法的規定があり、これを遵守しないことは犯罪行為だからだ」と答えた。
郭君氏は言う。「以前は多くの人が、アメリカには数千万人の不法移民がいるが、トランプ氏はただ言っているだけで、実際に行動を起こせば影響が大きすぎるだろうと考えていた。しかし今では、ほとんどすべての人が、トランプ政権の政策宣言を真剣に受け止め始めている。なぜなら、彼らは本当に言葉通りに行動を起こす可能性があるからだ」
この信念の変化は、多くの曖昧な政策宣言よりも影響力が大きいと考えられている。なぜなら、効果的な管理は、この信念に基づくべきだからだ。つまり、政府は法律や規定に従って管理を行い、単なる言葉ではないのだ。
過去数年間、この信念は大きな衝撃を受けて揺らいでいて、アメリカ政府のあらゆる側面に影響を及ぼしていた。政府は緩み、崩壊しつつあった。盗みが悪いと理解していても、法執行機関が無視することがあり、不法移民の入国が違法であるにもかかわらず、合法的行動のように見なされ、追及されない。アメリカには、多すぎる機能不良の事務所や政府機関があり、信じられないほどのデタラメと混乱が生じていた。
郭君氏は言う。「アメリカの統治当局がこの種の政府管理の信用と約束を回復できなければ、アメリカは、社会システム全体の崩壊に直面するだろう。これは一部の共産主義者や無政府主義者、ラディカリスト、グローバリストが望んだ結果だった。トランプ氏が就任してからわずか10日で、この信頼を大幅に取り戻したことは明らかだ。これは非常に素晴らしいことだ」
トランプ氏就任 世界の三大戦場の構図が大きく変化
テレビプロデューサーの李軍氏は『菁英論壇』で、ハマスとイスラエルが和平協定を結び、イスラエルの人質が次々と解放されて家族と再会していると述べた。トランプ氏はハマスに警告し、1月20日の就任前にすべての人質を解放するよう求めた。そうしなければ、予測不可能な打撃を受けると脅したのだ。
しかし、ロシア・ウクライナ戦争がすぐに終結する可能性は、現時点では依然として低い。トランプ氏のウクライナ特使であるアメリカの陸軍退役中将のキース・ケロッグ氏は、100日間の計画を立てており、4月頃までに戦争を終結させるかどうかを見極めたいと述べた。現在、キエフとモスクワの間には戦争終結の条件に大きな違いがある。ウクライナはロシアの完全撤退を求め、NATOへの加盟を望み、できればNATOがウクライナに、20万人の軍隊を駐留させることを希望している。これはプーチンが絶対に受け入れられない要求だ。
李軍氏は、トランプ氏がプーチン氏に対して、押したり引いたりして、揺さぶりをかけていると述べた。一方で、彼は第二次世界大戦中のロシアの貢献に感謝し、プーチン氏との良好な関係を強調している。他方では、戦争が終わらなければロシアにさらなる経済制裁を課すと警告し、最近ではOPEC諸国に石油価格を引き下げ、ロシアに圧力をかけるよう求めている。もちろん、プーチン氏もトランプ氏との交渉の意向を示している。
巫本添氏は次のように述べた。「私の意見では、マスク氏の役割を多くの人が見落としているかもしれない。それは、マスク氏がプーチン氏と直接電話で話せるという噂があるからだ。この状況下でロシアの高官が、トランプ氏の経験がプーチン氏の経験と似ていると語った。プーチン氏を暗殺しようとする者がいるのと同様に、トランプ氏を暗殺しようとする者もいる。プーチン氏への暗殺未遂は公表されていないが、トランプ氏への2回の暗殺未遂は世界中に知られている」
巫本添氏は、これは大きなメッセージだと述べた。
「つまり、我々はトランプ氏と同じ立場にあり、これが和平交渉の基盤となる。ウクライナ戦争の終結について、双方ともに終わらせたいと考えていると思う」
「両者はほぼ戦い尽くしており、ロシアは外国の傭兵を雇っている。ロシアは資金が尽き、経済も崩壊し、多くの人々が逃げ出している。ロシア人が逃げるのは容易で、国境が広すぎて軍隊では止められない。私は内部情報を少し知っているが、多くの国境から人々が逃げている。ロシアは兵力の問題を抱え、北朝鮮から兵士を調達し、他の国からも調達している。資金で多くの国から兵士を雇っている」
「したがって、私はウクライナ戦争は体面を保ちながら終結する方法を探る問題だと考えている。トランプ氏が提案するのを待っている。もしトランプ氏が提案すれば、双方は裏で調整を行うだろう。事前に打ち合わせをせずに提案するのではなく、必ず事前に調整を行ってから提案するはずだ。これが外交の手段だ。そうすれば、皆が望む結果を得て、面子を保つことができる。このようなことは、このようにして行われる。提案して、これに反対、あれに反対となれば、誰も面子を保てない」
郭君氏は、トランプ氏の就任が国際情勢に与える影響が非常に大きいと述べた。賛成派も反対派も、この事実は明らかだ。前述の二つの戦争は表面的なもので、実際にはシリア戦争もある。シリアは内戦を突然終結させ、新政府は西側寄りの世俗主義政策を採用した。これは過去30年で非常に珍しいことだ。シリアに加え、サウジアラビアの急速な政策転換も明らかな兆候であり、中東の動乱が短期間で収束する可能性が高い。
一方、ヨーロッパは、自分たちの問題を自分たちで解決しなければならないことをよく理解している。実際、アメリカは以前から、ヨーロッパが国防において自立することを望んでいた。アメリカの軍事的保護に依存し、経済的利益や政治的利益だけを享受することは許されないと言う事だ。アメリカ人はこのような要求を内心持っていたが、実際に行動を起こす勇気のある大統領はいなかった。なぜなら、一度動き出すと問題が多すぎて、すべての面で調整するのは容易ではないからだ。しかし、トランプ氏は異なる。彼は本当に言ったことを実行する人である。したがって、ヨーロッパと中東は、トランプ氏が就任すると、アメリカが本気で行動すると理解しているのだ。
郭君氏は、「ヨーロッパの保守主義が大きな励みを受けたことが、もう一つの大きな衝撃であると述べている。現在、中欧、東欧、北欧の一部の小国だけでなく、イタリア、スウェーデン、フィンランド、オランダなどの伝統的な先進国も右傾化し、保守派が政権を握っている。ドイツとフランスでも保守派の勢力が明らかに台頭しており、フランスとドイツの保守政党は、国内でほぼ第2位となり、地方選挙でも大きな成果を上げている」と述べた。
巫本添氏は、トランプ氏の意図は、NATOが契約済みであり、すでに合意され、全員が署名しているのに、なぜ契約通りに資金を出さないのかと述べている。一部の国はわずかしか出さず、一部は全く出していない。これは理にかなっていない。契約に署名したのだから、トランプ氏の考えは契約の概念に基づいており、彼は非常に真剣で、契約があれば履行しなければならないと考えている。
トランプ氏の動きが定まった後、中共は最も緊張し恐れている瞬間
郭君氏は、トランプ氏の政策が、中国に与える影響について、興味深い点を述べている。現時点では、トランプ氏は中国に悪影響を及ぼす政策を発表していない。中国に関連する唯一の政策はTikTokに関するもので、トランプ氏は75日間の猶予を与えている。
現在の状況では、トランプ氏のチームには二つのグループがある。一つは外交・国家安全保障チームで、全員が中国共産党に対して強硬な立場を取っている。もう一つは経済貿易チームで、商務省や財務省のメンバーが含まれている。1月30日に商務長官にルートニック(Howard Lutnick)氏、財務長官にネイサン・サー(Nathan Sare)氏が確定した。どちらもニューヨークのウォール街、つまり金融関連の富豪である。また、マスク氏や投資界の大物ジェフ・ヤス(Jeff Yass)氏もチームに加わる可能性があり、彼らは中国との商業関係を持っている。さらに、トランプ氏の財政チームにはホワイトハウス経済諮問委員会の委員長ミラン(Stephen Miran)氏、ライトハイザー(Robert Lighthizer)氏、ナバロ(Peter Navarro)氏が含まれ、全員が強硬派である。
郭君氏は、「トランプチームの対中問題について、国家安全保障、外交、軍事では非常に強硬だが、経済貿易では柔軟性があると述べている。しかし、トランプ氏はルビオ氏の見解、つまり中国共産党がアメリカにとって最大の脅威であるという考えを完全に受け入れていると思う。最大の脅威だからこそ、慎重に計画を立てて行動し、軽率な行動は避けるべきだ。これが、トランプ氏が中国共産党に対する政策をまだ発表していない理由かもしれない。さまざまな連鎖反応を明確にするために、周到な計画が必要だからだ。この段階は、中共にとって最も緊張し、恐れられている時期かもしれない」と言う。
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