社会問題 ネット上で嘆き広がる

「生きるのに絶望した?」交通事故起こした中国のタクシー運転手がとった行動【動画あり】

2025/02/14 更新: 2025/02/14

中国広東省広州市の路上で12日18時ごろ、衝突事故の後、車の運転手が「自殺」しようとする「事件」が起きた。

衝突して相手のタクシー(緑色)を横転させてしまった黄色いタクシーの運転手は、乗っていたお客さんを車から降ろした後、大破した車体を引きずったまま発進した。

「おっと、逃げるのか?」とその様子を撮影していた市民がおもわずそう口にした。

しかし、黄色いタクシーは逃げるどころか、加速して近くのガードレールへ突っ込んだのだ。

その様子を撮影した動画は華人圏で拡散され、多くのユーザーの涙を誘った。

「黄色いタクシーの運転手は生きることに絶望したのだろうか」

「事故は、ラクダの背骨を折る最後のワラ(ある物事が忍耐の限度を超えてしまうきっかけとなる意)となったのかな」など、ネット上では嘆きが広がった。

なお、12日は一家だんらんで「湯圓(もち団子)を食べることが風習の、中国の伝統的なお祭り「元宵節」であった。

翌日、黄色いタクシーの所属会社は、「衝突事故が起きた原因は運転手の体調不良によるもので、しかし現在運転手の身体は問題ない」とだけ伝えた。

「安定維持」のにおいがプンプンしてくるこのタクシー会社の説明には、「なぜ運転手が事故の後、突然加速してガードレールに突っ込んでいったのか」という国民がもっとも関心持つ点については、触れていなかったがために、「肝心な点を説明しろ」といった反発の声も多く寄せられた。

 

(当時の様子)

 

真相が何であったのか、事件が「安定維持」の対象となったいま、知る由もない。

また、いまのところ、この「自殺未遂」事件に関する中国官製メディアによる報道はまだない。

経済不況による「失業の波」が、中国全土に拡大していくなか、職にありつけず、生活を維持できない人が増えている。生活苦に加え、長年、中国共産党政府下で不公平な仕打ちを受けてきた恨みも募り、精神的に崩壊寸前のぎりぎりのところでなんとか持ち堪えている人は少なくないのだ。

それでも「安定維持」至上の現地当局は何かが起こると、まずは情報封鎖に走る。しかし、封じられたからといって問題が消えたわけでもなければ、真相がかき消されることもない。

このように、現代中国の状態は、本当に酷いのだ。日本のテレビに映る「繁栄大国」などでは、決してない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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