経済が低迷する中国で、仕事探しでも、生きる希望を失う人が増える中、犯罪に手を染める人が増え、なかでも、「外で飢え死にするなら、いっそのこと刑務所へ」と投獄を望む者すら現れている。「自由より飯」が現実となった中国社会だ。
ライブ配信しながら強盗する男
中国福建省平潭県(へいたんけん)で3月21日、1人の男はライブ配信しながら、貴金属店と携帯ショップを相次いで襲撃した。
帽子を被った男は、ナイフを片手に金品を強奪し、公安にナイフを向けながら、撮影中のスマホに対し、「兄弟たちよ、オレは今日、本気だぞ。人を殺すぞ!」などと叫んだ。店内の床は割れたガラスが散乱し、店の外は公安が取り囲んでいるが、男は逃げる様子もなく、冷静に強奪を続けた。
その後、男は当然ながら、拘束された。しかし、彼が配信した映像はSNSで拡散され物議を醸し、男のSNSアカウントは現在凍結されている。
華人圏では
「生活に追い詰められた末の犯行」
「あれはどう見ても捕まりたいがための犯行」「そんなに牢獄で飯を食いたいのか」
「絶望的な社会が生んだ捨て身の犯罪」
などと同情と嘆きの声が相次いだ。
(犯行の様子)
(犯行の様子)
「捨て身」の犯罪
生活苦から刑務所行きを望む事件は、後を絶たない。
昨年、四川省で中年男性、がわざとスーパーで万引きを繰り返し、「捕まえてくれ」と懇願。さらに、河南省では借金に苦しむ若者が、銀行強盗を企てたが、犯行後に自首し「刑務所で生きたい」と言ったと言う。
こうした事件の背景には、経済の低迷がもたらす生活苦がある。自暴自棄になった人たちは自殺か、犯罪に手を染めるしかないと言う事だ。
かつては自由を奪われる場所であった刑務所が、今では「食と寝床を保証される安息の場」となりつつある。犯罪に手を染めなければ生きていけない――そんな歪んだ現実が、中国社会の行き詰まりを如実に物語っていた。
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