日本のゴールデンウイークと時を同じくして、中国でも「メーデー」と呼ばれる大型連休が始まり、各地の観光地は活況を呈している。
過去と違って、今年の旅事情は「短距離・低予算」が目立つが、もう1つ過去には見られない光景がそこにはあった。
それは、「旅先で屋台を開く若者たちの姿」だ。
昼は観光名所で遊び、夜になるとレンタル機材を使用して路上で商売を始める若者たち。焼きソーセージを売る大学生や、街角撮影を請け負う若者、楽器で弾き語りをする音楽好きなど、形は違えど「旅をしながら稼ぐ」新しい生き方がそこにはあった。
「どうして旅先で屋台を?」――ある若者は「失業の身だし、少しでも旅の費用を稼ぎたかったから」と答える。
現在、中国経済は中国共産党の失政によりどん底状態にあり、今年3月には約1200万人の新卒者がでたが、多くの卒業生が「卒業即失業」という厳しい現実に直面している。
若者たちは、高すぎる住宅価格や慢性的な就職難といった社会的障壁を前に、自ら稼ぐ術としてこのライフスタイルを選び始めているようだ。

若者の「移動式副業」スタイルは、SNSでも注目を集めており、攻略も紹介されており、関連タグは人気を博している。
「旅行しながら屋台を始めた」という話題は5月2日に中国SNSウェイボー(微博)で1億6千万回の閲覧数を記録し、社会の注目を集めた。
こうした軽創業スタイルをめぐっては、「新しい稼ぎ方だ」と好意的な声もある一方で、「場所代や取締りはどうするのか」といった現実的な疑問も相次いだ。
「旅×副業」というと聞こえはいいが、実際は華やかな連休の裏で、働く場を失った若者たちが生き延びるために選んだ切実な手段にほかならない。
日本では行楽の笑顔があふれている一方で、隣国では、今年のゴールデンウイークは「生きるための旅」が静かに広がっている。


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