相次ぐ外国人の重大事故 外国免許切替の運用見直しを警察庁が検討

2025/05/20 更新: 2025/05/23

埼玉県三郷市で発生したひき逃げ事件や、新名神高速道路での逆走事故など、相次ぐ重大交通事故において、容疑者がいずれも「外国免許切替(外免切替)」制度を通じて日本の運転免許を取得していたことが明らかになった。こうした事態を受け、警察庁は制度の見直しや運用の厳格化を検討している。

外免切替とは、外国で取得した有効な運転免許証を所持する者が、日本国内で運転を行うために、学科試験や技能試験の一部または全部が免除され、日本の運転免許証に切り替えることができる制度である。

この制度については、住民票のない外国人でもホテルの住所を使って申請が可能である実態が、国会でも取り上げられている。2025年2月4日の衆議院予算委員会では、立憲民主党の大西健介議員が「在留カードがなくても、観光ビザで滞在中のホテルから申請できる」と述べ、制度運用の緩さに懸念を表明。

また、外免切替に際して課される学科試験についても、大西氏は「日本の交通法規に関する2択問題を10問中7問正解すれば合格で、日本語ではなく中国語を含む24の外国語で受験できる」と指摘。日本語能力が不要である点や、手数料が4600円と安価であることにも言及し、日本人が教習所で多額の費用と時間をかけて免許を取得する現状との格差を問題視した。

これに対し、坂井学・国家公安委員長は、「学科試験は簡易で安易なものだと私も思う」と認めつつ「技能試験については厳格に実施しており、一定の運転技術を有する者しか免許は取得できない制度になっている」と説明した。

警察庁によると、2023年の外免切替による運転免許の取得者は5万6022人に上り、過去10年間で約2倍に増加している。

訪日外国人や在留外国人の利便性を考慮して導入された外免切替制度だが、安全確保や制度の公平性といった観点から、その在り方がいま大きな岐路に立たされている。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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