米中対立激化 20か国が中共包囲網を強化 台湾有事と最新防衛戦略

2025/05/24 更新: 2025/05/24

米中間の対立が一段と深まる中、アメリカと20か国以上が、中国に対抗する包囲網の構築を進めた。各国は台湾有事を想定し、最新のミサイル防衛システムや多国間軍事演習を通じて、安全保障体制の強化に乗り出した。

世界的な緊張の高まりが、中南海に迫り、アメリカは、アジア太平洋の主要同盟国に警告を発し、中国共産党の動きを「戦争のリハーサル」と断定した。20か国超が連携して、天羅地網(逃げ場のない厳重な包囲網)を構築し、アメリカの「アイアンドーム」ミサイル防衛網は北京を射程に捉え、同盟国の軍艦と戦闘機は、台湾海峡および南シナ海に展開して臨戦態勢を整え、中国共産党が掲げる「武力統一の夢」に対する迎撃態勢が具現化していた。

中共、危険な道を進行  20か国連携で包囲網を形成

アメリカと20か国超の同盟国は、ハワイで開催した合同会議において、新たな戦略を策定した。従来の「緩やかな同盟」から「共同作戦」体制へ格上げし、明確に中国共産党の包囲を目指す方針を打ち出した。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』は、この会議において、複数の協力メカニズムが発動されたと報じ、情報共有、合同軍事演習、越境指揮システムなど、新たに稼働を開始したメカニズムも含まれた。

アメリカインド太平洋軍のサミュエル・パパロ司令官は、「中国共産党は現在、24時間以内に152隻の軍艦、数十の旅団、そして水陸両用部隊の約75%を動員できる能力を保有している」と指摘し、これは単なる演習ではなく予行演習に等しいと断言した。「中国共産党は明らかに危険な道を進んでいる」と強調した。

アメリカは、対抗措置を加速させ、早期から中国共産党を国家安全保障上の最大脅威と位置づけ、国防長官ピート・ヘグセス氏は、アジア太平洋地域を訪問した際、「戦略の重心が、かつてない速さでインド太平洋に移行している」と明言した。

移行の実態は、発言にとどまらず、米軍は具体的な動きを継続中だ。

まず、沖縄に新設した「沿岸戦闘団」は、第一列島線を射程に収め、中国軍の進出を抑止する専門部隊として稼働した。パパロ司令官は「台湾海峡で衝突が発生した際、最初に攻撃対象とすべきは、中共のレーダー、ミサイル陣地、指揮センターであり、敵の“目と耳”を奪う必要がある」と述べた。

今年の「コブラゴールド」多国間共同訓練は、過去最大規模となり、30か国以上が参加し、8千人超の兵士が動員された。電子戦、水陸両用上陸、島嶼奪取作戦といった訓練内容は、「台湾海峡シナリオ」を想定した実践的な演習であった。

同盟の枠組みも拡大し、日本、フィリピン、オーストラリアが全面協力体制を構築した。『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、日本は「統合作戦司令部」を設置し、来年3月までに、国産対艦ミサイルの配備を完了させる計画を立てており、即応性を高めた。

フィリピンおよびオーストラリアは、第一列島線の外に位置するが、その地理的優位性を活かし、中国の海空軍の動向を常時監視し、米軍との連携を図る。

アメリカの新世代対艦ミサイルは、中国海軍に対して、精密な打撃力を有し、パパロ司令官が「ゲームチェンジャー」と称するほどの戦力を示す。また、米国の長距離極超音速ミサイル(通称:「Dark Eagleダーク・イーグル)は、探知困難かつ迎撃困難であり、抑止力を飛躍的に高めた。

台湾、防衛体制を強化

台湾側も多層的な防衛構築を進めている。レーダー面では、「PAVE PAWS」システムにより3500マイルの範囲をカバーし、ミサイル発射の即時探知が可能となった。

防空面では、「パトリオット」システムに加え、NASAMS中距離防空システムの導入も目前である。「天弓」ミサイルの生産量も増加した。

対艦ミサイルでは、国産「雄風」ミサイルに加え、アメリカから購入した「ハープーン」地上発射巡航ミサイルも運用に加えた。

台湾海軍は、機雷敷設艦への投資を拡大し、有事の際には港湾に機雷を敷設して「隠れた地雷原」を形成する態勢を整えた。

上陸阻止策としては、攻撃型ドローンや「ジャベリン」ミサイルを配備し、中国軍が上陸した場合にはこれらの兵器で戦車を正確に攻撃する準備を進めている。

『ウォール・ストリート・ジャーナル』によれば、米軍は地理的な不利を補うために、年間40回を超える実戦的な演習を実施して、直近の演習では、オーストラリアおよびフィリピンの部隊と共に、南シナ海で「上陸阻止」訓練を行い、進攻ルートへの先制的な障害設置を実行した。

とはいえ、米軍にも課題が残る。太平洋海兵隊司令官ジェームズ・グリン氏は、水陸両用輸送手段の不足により兵力展開の遅れが懸念されると述べた。ただし、「準備が不十分というわけではなく、単に以前より規模が縮小しているにすぎない」とも補足した。

もはやこれはアメリカ一国の戦いではなく、多国間の連携によって中共を多重に包囲し、防御体制を構築する国際的な作戦へと発展していた。

アメリカが主導する「グローバル包囲」戦略は、中国共産党の行動を果たして抑止できるのか? その成果が試される時が迫っていた。

戦場医療体制の進化と今後の課題 「ゴールデンアワー」はすでに時代遅れ

戦場医療は今や「命を救う最後の砦」として、大幅に進化を遂げた。

米国の『ディフェンス・ワン』(Defense One)は、イラクやアフガニスタンで米軍が負傷者を1時間以内に病院へ搬送していた事実を報じている。この「ゴールデンアワー」は、生存率を高める上での重要な基準であった。しかし、太平洋戦域で中共と実戦となれば、この「1時間」の基準はもはや通用しない可能性が高い。

米陸軍第18医療司令部のダリン・コックス少将は、「中共との戦いにおいて、1時間以内の航空搬送は非現実的であり、制空権の確保も保証できない」と語る。

この現実を前に、米軍は従来の「迅速な搬送」に頼る方針を転換し、戦場の最前線に高度な救命スキルを直接持ち込む戦略へと移行した。

陸軍は戦地医療訓練を数日間追加し、その場での輸血による救命技術を、兵士に習得させた。

さらに、太平洋地域においては、複数の分散型指揮拠点や後方支援拠点を配置し、現地での救援や補給が可能な体制を整備している。

米軍は同盟国と合同で「作戦医療」訓練も展開し、医療支援における国際的な協調性を高めた。

戦闘が発生した際には、各国の医療システムが歯車のように正確に連携しなければ、効果的な支援は成立しない。

コックス少将はウクライナ戦争の教訓についても触れた。かつては数時間での撤退を前提にしていたが、現在では数日経っても撤退できない状況が現実となっている。

この事実は、米軍全体の医療体制に対して根本的な再設計を迫るものであった。

コックス少将は「米軍は抑止によって戦争を防ぐ意志を持つが、実際に戦闘が始まれば、万全の準備を整える必要がある」と述べた。

台湾海峡で有事が発生すれば、単なる火力の応酬では終わらず、「持久力の競争」という形の消耗戦に突入する可能性が高い。この局面では、医療体制が命をつなぐ鍵となり、いかなる失敗も許されないのだ。

米軍の最新ミサイル防衛「ゴールデンドーム」──中共が示した驚愕の反応

アメリカはインド太平洋地域での陣形展開に加え、「技術的核爆弾」とも呼べる新兵器を導入した。

5月20日、トランプ大統領は総額1750億ドルを投じた「ゴールデン・ドーム」(Golden Dome)ミサイル防衛システムの始動を発表した。目的は、中共およびロシアが保有する新世代ミサイルの脅威に対抗することであり、3年以内の実戦配備を目指している。

このシステムは、宇宙センサー、レーザー迎撃機、高超音速ミサイル迎撃兵器を統合し、ミサイルの発射初期段階から追跡・迎撃を実現するという。

トランプ大統領は、「たとえミサイルが地球の反対側や宇宙から発射されても、アメリカは迎撃できる」と断言した。

大統領は宇宙軍のマイケル・ガイトライン大将を任命し、すべてのサブシステムの統合と指揮を委ねた。この構想は単なる技術革新にとどまらず、冷戦以後におけるアメリカ最大級の防衛プロジェクトに位置づけられた。

この発表に対し、中共は明らかな動揺を示した。

中共外交部の毛寧報道官は記者会見で、「ゴールデン・ドーム」には強い攻撃性があり、世界の戦略的安定を脅かし、「宇宙の平和利用原則」にも反すると批判した。だが実情として、中共はこの技術に対して恐れを抱いたのだ。

「ゴールデン・ドーム」システムは多層防御を実現し、技術的に中露を大きく上回る。トランプ政権は、この構想を米軍の戦略構造の再構築に組み込んでおり、これが実現すれば、中共のミサイルの脅威は実質的に無力化される。

この計画にはアメリカのみならず、同盟国も積極的に関心を示した。カナダはすでに参加の意向を表明し、米国防総省は他の同盟国とも費用分担に関する協議を進め、さらに、SpaceX、ロッキード・マーティン、レイセオン・テクノロジーズ(RTX)、Palantirといったテック企業もこの「マンハッタン計画級」の任務に加わる姿勢を見せた。

唐青
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